2015.11.25 テロ

パリ同時多発テロとイスラム国IS、戦いに終わりはあるのか!?

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パリ銃撃戦や自爆テロで犠牲者129人、入院中221人、負傷者400人以上、前代未聞の惨劇

パリ同時多発テロは、フランス、パリ市内とその郊外で11月13日(金)に発生しました。

パリで犠牲になった方々のご冥福を心からお祈りするとともに、被害を受けた方々には一日でも早い回復をお祈り申し上げます。

 

今回のパリ同時多発テロを受け、各国の首相が、次々と「テロの根絶とテロリストと戦う」ことを誓う公式声明を掲げました。

テロの根絶は可能なのでしょうか。

14日に、日本の安倍首相はフランスのオランド大統領に向けてお見舞いと対テロに連帯の意を示すメッセージを送りました。

また現地時間の15日にトルコで開かれたG20に出席した首脳たちは、「すべてのテロ行為やその手段、慣行を明確に非難する」そして「テロとの戦い」に強い決意と連帯が不可欠だとの認識で一致しました。

G20首脳は、

テロ資金の流れに関する情報交換や国境管理などによるテロリストの増大阻止、航空ルートの安全強化の重要性で一致。

各地でテロ行為を繰り返すイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」など、テロの根底にある暴力的過激主義の芽を摘むため、失業対策など経済的困窮にある若者らへの支援が必要との認識を共有した。(産経ニュース2015.11.16)

フランスのパレス首相は、今回のテロを、フランスが相手にしているのはテロ組織ではなく「テロ軍隊」だと指摘してます。

また、パルス首相は、フランス警察当局が16日早朝に国内150カ所にのぼる過激派の関係各所を家宅捜索したと発表しました。

このパリ同時多発テロ事件をきっかけにテロとの戦いは、どのように変化するのでしょうか。

テロとの戦いに終わりはあるのでしょうか。

 

イスラム国(IS)の憎しみを受け継ぐ「ホーム・メイド・テロリスト」の真実

「逆らえば危険な国」というイメージ戦略を行ってるイスラム国(IS)。

積極的にインターネットを利用し、アラビア語、英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語などの欧米の言語による宣伝活動を活発に展開し、「預言者ムハンマドがメッカからマディーナに移住し、イスラム共同体を創設した故事」を強調し、イラクやシリアに移住するよう呼びかけています。

YouTubeでも残虐非道な処刑シーンを流し、イスラム国(IS)の宣伝活動に使っています。

また、リクルートにソーシャルメディアを活用しています。

今回パリで同時多発テロを起こした多くのテロリストは、フランスへ移住したイスラム教徒の子どもたちでした。

フランス国籍を持っているにも関わらず、フランス社会で高等教育を受ける機会や就業のチャンスを手にすることができず、フランス社会に対して深い不満と強い憎しみを抱いているイスラム教徒の移民。

彼らの多くはネットや礼拝所などを通じてイスラム国(IS)にリクルートされ、「テロ予備軍」としてトルコからシリアに渡りISの戦闘訓練を受け、再びヨーロッパに戻ってきた人たちです。

つまり、彼らはもともと育つ過程で、フランス社会に憎しみを抱き、さらにISに洗脳され磨きのかかった「ホーム・メイド・テロリスト」なのです。

今後特に多民族社会においては、移民の子として育つ過程でISの過激思想に染まり、テロに走るいわゆる「ホームメード・テロリスト」を危険視していくようになると言われています。

西欧社会に溶け込むことができない移民の鬱憤、イスラム教徒に対する社会の偏見、所得格差など日頃から不満を持っている移民の子を誘惑し、「欧米を敵視する思想」を吹き込む巧妙なリクルート方法は、今後も絶えることがないでしょう。

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テロリスト

 

イスラム国(IS)、テロを正当化する巧妙さ:西欧社会により押しつけられた国境、サイクス・ピコ体制

イスラム国(IS)は、「欧米を敵視する思想」の一つとして「サイクス・ピコ体制」の打破を掲げています。

サイクス・ピコ協定とは「第一次世界大戦中の1916年に、イギリスはフランスやロシアとともにオスマン帝国の領土を、アラブ人やクルド人などの現地住民の意向を無視して、自分たちの勢力圏を決める秘密協定、サイクス・ピコ協定」を締結しました。(ISIL/Wikipedia)

戦後その協定に修正を加えて国境線が引かれ、後にフランスの勢力範囲からシリア、レバノンが独立、イギリスの勢力範囲からはイラク、クエートなどが独立しました。

確かに西欧による不自然な国境線がその後のパレスティナ問題やクルド人問題の原因の一つとなっています。

イスラム国(IS)は、こうした分割された歴史に対し怒りを覚え、西欧社会により「押しつけられた国境」を消し去り、武力によるイスラム世界の統一を目指しています。

サイクス・ピコ協定から約100年経った今、中東で、宗派や民族の分布を無視した国境線、国民国家の枠組が揺らぎつつあります。

中東の人々はさまざまな社会的・政治的な不満と期待したアラブの春が結果的に内乱や渾沌を生み出したことに対して絶望感を感じています。

イスラム国(IS)はこうした状況を「サイクス・ピコ体制」への怒りに巧妙に転換させ、自分たちが単なる地域的な反政府武装勢力ではなく、より大きな大義を担う存在であることを示そうとしています。

英米やフランスのISに対する空爆などの軍事攻撃は、その勢力を一時的に止めることは可能です。

しかしながら、中東各国の政府や国際社会が不満をもつイスラム教徒に、イスラム国(IS)は中東の人びとの怒りや不満の受け皿にはならないと示さない限り、「イスラム国(IS)の脅威」を排除するのは難しいです。

 

サイクス・ピコ協定。濃い赤はイギリス直接統治、濃い青はフランス直接統治、薄い赤はイギリスの、薄い青はフランスの勢力圏。紫(パレスチナ)は共同統治領 作者KLuwak(サイクス・ピコ協定・wikipedia)

サイクス・ピコ協定。濃い赤はイギリス直接統治、濃い青はフランス直接統治、薄い赤はイギリスの、薄い青はフランスの勢力圏。紫(パレスチナ)は共同統治領 作者KLuwak(サイクス・ピコ協定・wikipedia)

 

イスラム国(IS)の資金源、史上最も裕福なテロ集団

イスラム国(IS)の最高指導者はイラク出身のアブバクル・バグダディです。

またアメリカの情報担当局者は、1日に300万ドル(3億2000万円)稼ぐ、史上最も裕福なテロ集団となっていると明らかにしました。

その資金源は、

裕福な寄進者

シリアの過激派への資金提供の大半、湾岸のアラブ諸国の裕福な個人の寄進者によって集められた何百万ドルもの資金がトルコ・シリア国境にいる反政府派の武装集団の手に渡っています。

 

略奪

イスラム国(IS)はイラクとシリアでほぼイギリスと同じ範囲の領土を占領し、現地の銀行や軍事施設から何百万ドルもの現金やその他の金品を略奪したといわれています。(AP通信)

 

密輸と税金

シリアのある地域で、最も古いもので8000年前の骨董品を販売し、少なくとも3600万ドル(44億4千万円)を得ていたと報じています。(英国紙「ガーディアン」2014年6月)

制圧した地域から税金を取り立て、企業に対し1月あたり800万ドル以上の税金を徴収していたと推定されます。(アメリカの超党派組織「外交問題評議会」)

 

石油

石油はISの最大の収入源で、シリアとイラクで占領した12カ所の油田から原油を汲み上げています。

現在イスラム国の支配領域内で日に 2万5千から 4万バレルを生産しており、これは闇市場に約120万ドルの利益をもたらすという。

(ニューヨークタイムズ:ブルッキングス研究所ドーハセンタールアイ・アル・カティーブ客員研究員による)

 

拉致と人身売買

誘拐と人身売買の強要で、AP通信によると数百万ドルの売り上げを出しているようです。

日本人2人を人質に取り、身代金2億ドル(約235億円)を72時間以内に支払わなければ殺害すると警告するビデオ声明をインターネット上に出した

誘拐しその一部の女性や子供を奴隷として売り飛ばしているのです。

特に異教徒の女性は性奴隷として迫害されています。

イスラム国(IS)は、アルカイダの系統とされていましたが、処刑シーンなどネットで公開する手法を批判し、ISを破門しました。

 

ISILのアブー・バクル・アル=バグダーディー。 イブラヒーム・アッワード・イブラヒーム・アリー・アル・バドリー・アル・サマッライ。

ISILリーダーのアブー・バクル・アル=バグダーディー。
イブラヒーム・アッワード・イブラヒーム・アリー・アル・バドリー・アル・サマッライ。

 

イスラム国ISが名指しで次のターゲットは米国ワシントンと宣言

16日、過激派組織IS=イスラミックステートは、インターネット上に約12分の動画をの声明を新たに出し、事実上米国ワシントンに宣戦布告をしました。

ISは動画中で、

「フランスのパリを攻撃したように、アメリカのワシントンも同じような目に遭わせる」

次は米国を標的にしたテロ攻撃を行うと示唆しています。

そして「恐怖はまだ続くことを約束する。これからもっとひどいことが起きる」と。

パリの同時テロ事件の現場映像や、フランスのオランド大統領がISに対してシリア空爆を行ったことを発表している映像などを使い、欧米に住むイスラム教徒に対して、アメリカ主導している60カ国の有志連合の国々に対しても立ち向かい、攻撃を加えるよう呼びかけています。

 

ISの専門家ヒシャム・ハシミ氏は、今回のパリ同時テロで、「ISが、ヨーロッパでの対テロ戦略を打ち破る能力があることに加え、実行犯のネットワークがかなり前から存在していたことも分かった」と述べました。

その上で、「ISは、アメリカが主導し60か国が参加する対ISの有志連合を解体させようと動き出した。有志連合でアメリカに次ぐ規模のフランスへの攻撃がヨーロッパ諸国すべてに影響を与えることを知っているからだ。実際に、フランスの世論の中には有志連合からの離脱を求める意見も出ている」と。

つまりISのねらいは、ISへの空爆作戦などを続ける有志連合そのものを解体させることだとハシミ氏は指摘しました。

また「日本が有志連合の一員に名を連ねている以上、ISの脅威から遠いとは言えない」と述べ、日本もテロの攻撃対象という見方を示しました。

(11月15日NHKのインタビューより)

 

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米国国旗

 

パリ同時多発テロ事件を受けて

テロとは、私たちの日常生活を恐怖で破壊することを目的とする行為です。

イスラム国(IS)のテロリストは、パリという世界有数の都市であり、西欧の文化の拠点を銃や爆弾で襲い、パリ市民を恐怖に陥れました。

狙われた場所は、週末を控えた市民やツーリストが楽しんでいたレストラン、音楽を楽しむ劇場、スポーツを観戦するスタジアム。

このテロによる破壊の目的は、現代社会における自由で文化的なライフスタイルそのものでした。

現在のパリは、エレガントでおしゃれなパリのイメージが完全に消え、戒厳令が敷かれ重武装の兵士が行き交い、戦場のようになってしまいました。

日本でもいつこのようなテロ事件が起こるかわかりません。

私たち一人一人も国際情勢に敏感になり、問題について深く考え抜き、自分なり答えを出していかなくてはなりません。

 

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