2016.01.16 鉄道

あべのハルカスから住吉大社まで路面電車で!大阪と堺を結ぶ阪堺電気軌道

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大阪人に『チン電』の愛称で親しまれているナニワの路面電車!阪堺線こと阪堺電気軌道

大阪にも唯一、路面電車が走っている区間が残っているのはご存知でしたか?

阪堺電車こと阪堺電気軌道は、その名の通り大阪市堺市を結び、地元住民から『チン電』という愛称で呼ばれています。

大阪名物「通天閣」を見上げる恵美須町と、超高層「あべのハルカス」を見上げる天王寺駅前の、それぞれ2つの起点から南下し、途中の「住吉大社」手前の住吉で1本の路線となり、堺市の浜寺公園まで結びます。

遅れて開業した住吉~住吉公園の1駅区間も合算して、全区間およそ20km弱で営業中です。

このチン電に並行するようにJR線や南海電鉄も走っているため、強豪ライバルとの争いには負け気味ですが、あの「あべのハルカス」効果で利用客が増えているそうなので、観光資源にもなりつつあります。

実際に、阿倍野でショッピングなどして、その足でチン電に乗って住吉大社へ向かうというのも、観光ルートの1つだそうです。

路面電車で住吉大社へ、、、ですね?!

 

鉄橋!紀州街道!平面交差!阪堺電気軌道は見どころ満載

阪堺電車の沿線には観光スポットも数多く点在していますが、路線の中にも見どころがたくさんあります。

それらをご紹介する前に、チョットわかりづらい2本の路線「阪堺線」と「上町線」についてハッキリさせておきましょう。

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<出典> 阪堺電気軌道株式会社 オフィシャルサイト

 

恵美須町~浜寺駅前の阪堺線と、天王寺駅前~住吉公園の上町線が、住吉で交差しています。

ところが、恵美須町から出発するチン電は、浜寺駅前まで直通運転しておらず(緑のルート)、その先へ行くには必ず途中の我孫子道で乗り換える必要があります。
逆に、天王寺駅前から浜寺駅前までは約半分が直通運転している(青のルート)のです。

不思議に思って時刻表を見てみたら、謎は全て解けました!

☑ 恵美須町~住吉(合流する駅)の本数・・・1時間あたり3本
☑ 天王寺駅前~住吉(合流する駅)の本数・・・1時間あたり9本

平日の日中のダイヤで比較すると、天王寺方面の方が3倍も需要があることが分かります。

本来の路線に関係なく、需要の多い路線をメインに考えた結果でしょう。

 

阪堺電気軌道の沿線名物 その①【平面交差】

そのため、2路線が交差する住吉では、ただ十字に線路が交差しているだけでなく、天王寺駅前からの上町線が阪堺線に合流するポイントも設けられています。

これら線路が複雑に入り組んだ様子ときたら、もう絶景でしかありません!

この素晴らしいクロッシングを抜け、住吉大社を通り過ぎると、乗り換えポイントでもあり大きな車庫も備える我孫子道に到着!

そして、その先の大和川を渡ると、いよいよ堺市に入ります。

 

阪堺電気軌道の沿線名物 その②【遺産級の鉄橋】

この大和川に掛かる鉄橋が、これまたスゴイ!

大阪に現存する鉄道用の鉄橋としてはかなり古く、明治44年製!
構造は英国式で、大阪府の近代土木遺産にも登録されています。

この古い橋に短い路面電車が走る姿は、とても2015年とは思えないですね。

 

阪堺電気軌道の沿線名物 その③【壮大なスケールの紀州街道】

そんな大和川を渡り3駅ほど進むと、堺市の中心部でもある綾ノ町~御陵前では紀州街道(大道筋)を走ります。

約50m幅の太い道路中央に、植栽で区切られた状態でチン電の線路が敷かれています。

いやぁ、贅沢!

ちなみに堺は、紀州街道や熊野街道など5つの街道が交わる交通の要衝でした。

江戸時代には紀州と泉州の交易ルートでもあった紀州街道に路面電車が走るというのもロマンティックですね?!

 

「日本一終電が早い駅、廃止」のニュースは阪堺電気軌道だった!

時事ネタも時事ネタ・・・
先ごろ、「日本一終電が早い駅、廃止」というニュースが話題になりました。

まさに阪堺電車の住吉公園駅のことです!

8月28日、阪堺電気軌道が国土交通大臣に「住吉~住吉公園(0.2km)」の廃止申請書を提出しました。

理由は路線の老朽化ですが、これを補修する費用と営業収入とを天秤にかけた結果、会社として廃線を選択したことになります。

上の記事を読まれてお気づきになりましたか?
そうです、日本一早い終電の時間は、なんと朝8時24分

悲しいかな、線路補修に何億円もかけられない事情がわかりますね。

この住吉公園~住吉の区間が廃線となると、いわゆる阪堺電車の十字のような路線がY字になり、名物でもある線路の平面交差(ダイヤモンドクロス)の存在も危ぶまれます。

哀愁感の漂う住吉公園駅も最高ですが、ダイヤモンドクロスの任務終了も寂しいですね。

 

現役走行の路面電車としては阪堺電気軌道の車両が日本最古?!

チン電には、昭和3年から走り続けている日本最古の現役車両が走っています。

鉄道ファンはもちろん、見たら誰もが「おっ?!」となるくらい歴史を感じさせる個体です。

窓が木枠
そして当然のごとく冷房装置ナシ!!

そのため、夏は運行しないそうです。

いかにも「ザ・路面電車」のイメージそのままで、グッときますね!

イベント用に貸し切ることも可能で、その際は天王寺駅前~浜寺駅前の往復を2時間かけて走行します。
これはお得かも?!

 

大阪名所『あべのハルカス』効果?!路面電車の利用者増加による阪堺電気軌道の増益

阪堺電車は、途中下車してもしなくても楽しめることがよく分かりました!

しかし、一時は路線の廃止まで検討されたといいます。
ただ乗客が減少しただけでなく、2000年に国交省から出された「安全対策事業の推進」が資金的に困難という、非常に厳しい理由によるものでした。

そして真っ先に路線廃止区間として検討されたのが、我孫子道より先の堺市側です。
これに対して堺市は、路線存続の動きを見せます。

なぜかというと、南北に延びる路線が何本も通っているこの地域においては東西の移動が弱く、かねてから堺市には東西方向にLRTを建設する計画がありました。

これが実現すれば、阪堺電車との相互乗り入れなど連携プレイが可能になります。

今は実現できていないものの、こうした計画もあったことから、堺市としては阪堺電車の廃止を存続させる必要がありました。

事業の資金補助や乗車運賃の一部負担など、身を削った対策を講じることにより廃線になることなく営業が継続され、無事に2011年12月に開業100周年を迎えることができました!

そんな堺市の支援により利用客は増えていき、さらに「あるキッカケ」が後押しします。

それが、2011年4月オープンの「あべのキューズモール」と2014年3月オープンの「あべのハルカス」!

特にあべのハルカス効果は大きく、乗降者数は前年に比べて3%も増したそうです。

実際に、団体客をはじめ、阿倍野から住吉大社へ向かう観光客などが数多くいるとのことなので、チン電に乗ること自体も観光の一部として成り立っているかもしれません。

いやはや、経済効果というのは様々な方面に普及するんですね。

 

NHKの朝ドラ『マッサン』で話題になった路面電車も大阪の阪堺電気軌道

国民全員が観てるんじゃないか?と勘違いしてしまうほど人気の朝ドラ『マッサン』では、大阪も舞台の1つでした。

タイアップという形で、放映中の期間限定ではありましたがラッピング車両を走らせており、車内もストーリーに合わせて異なるポスターを掲げて

いたそうです。

しかも、使用したのは例の現役最古の車両というから憎い!

また、チン電に乗ってドラマゆかりの地を巡る日帰りツアーも敢行されました。

バーカウンターが設けられた特別車両の車内では、もちろんウィスキーのテイスティングも!

 

阪堺電気軌道もLRT(ライトレール)に積極的!時代と共に移り変わる大阪の路面電車

路線廃止に追い込まれた阪堺線は、LRTに積極的な堺市のバックアップもあり、超低床車両の導入や沿線の改良などが行われています。

堺市としては、市内を南北に走る阪堺電車に垂直に交わる形で東西方向に新路線の建設計画をもっているようですが、まずは阪堺電車から手を付け始めました。

大阪の下町があべのハルカスに、そして、昭和の路面電車がLRTに・・・
時代は移り変わるもんですね。

 

これぞ阪堺電気軌道のニューフェイス!和のテイストが盛り込まれた次世代型路面電車『堺トラム』

昭和3年から走り続ける車両が残っている一方で、チン電こと阪堺電車にも2013年に超低床車両が導入されました。
これにより、停留所と車内との段差が40cmから5cmに改善され、その進化たるや大きな飛躍です。

車両には『堺トラム』という愛称が付いており、全部で3編成あります。

和風テイストの落ち着いたボディカラーの白茶色は堺市で生まれた千利休の「わび」を、正面の黒色は堺市で発展した工芸品「堺刃物」を、それぞれイメージしています。

公募により4案の中から選ばれました。
アースカラーでもあるので、街の景観も邪魔しなくて良いですね。

そしてなんと、ロゴまで!

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<出典> 阪堺電気軌道株式会社 オフィシャルサイト

 

また、車内にも和風テイストは盛り込まれており、木材が随所に使われている他、木目柄・和紙柄の化粧板や簾カーテンなど、千利休だけに「走るモダンな茶室」みたいです。

導入さている3編成は、全て異なる色(茶・紫・青)のアクセントが施されており、しかもその色に合った「名前」まで付いているのです。

ゆるキャラっぽいですが、これもクールジャパン?

 

阪堺電気軌道 堺トラム①【茶ちゃ(ちゃちゃ)】

記念すべき第1編成です。
アクセントカラーの「緑」は、阪堺電車の元々の色をイメージしています。

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<出典> 阪堺電気軌道株式会社 オフィシャルサイト

 

阪堺電気軌道 堺トラム②【紫おん(しおん)】

2014年に導入された第2編成です。
アクセントカラーの「紫」は、堺市の花「ハナショウブ」をイメージしており、千利休と同じく堺市で生まれた与謝野晶子も好んだ色だそうです。

 

阪堺電気軌道 堺トラム③【青らん(せいらん)】

今年2月に導入されたばかりの第3編成です。
アクセントカラーの「青」は、かつて東洋一といわれた浜寺の海水浴場をイメージしており、堺市の市旗にも使われています。

 

電停の改良に芝生の軌道?!阪堺電気軌道が考える路面電車を活かした大阪の街づくり

あべのハルカスの足元に「あべの筋」という大通りがあり、今まさに幅員を24mから40mへ拡張する工事が進められています。
単純に倍ですね!

それに伴って、阪堺電車の線路も道路中央に移設され、電停も一新されます!

工事中の今、チン電の乗り場までは地下道を伝い階段を使ってしか行くことができません。
しかし、設置済みの新たな「阿倍野歩道橋」からはエレベーターでホームまで降りれるようになります。

そしてそのまま段差を気にせず『堺トラム』にでも乗った日には、完全にバリアフリーですね!

ちなみに阿倍野歩道橋を上から見ると、頭文字の「」になっています。

また、線路の移設にあわせて、この600mの区間が緑化軌道になる予定も!

昭和の路面電車から一気にLRT(ライトレール)に変貌を遂げる勢いですね。

高度経済成長期には、自動車の増加による交通渋滞を解消すべく、チン電を地下化する予定もありました。

しかし、現状の通り実現しておらず、むしろ昨今では「道路レベルで気軽に乗り降りできる」という点が路面電車の再評価されている重要な点なので、地下にも高架にもならず良かったのかもしれませんね。

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<出典> 阪堺電気軌道株式会社 オフィシャルサイト

 

 

もはや社名が堺トラムでもおかしくない阪堺電気軌道!歴史ある大阪の路面電車は進化が止まらない

元々は近鉄だったり南海だったり、チン電こと阪堺電車の歴史は波乱万丈です。

母体の会社は変わっても今までずっと民間企業として経営している中、廃線に追い込まれそうな時期に行政である堺市が手を差し伸べたことは、非常に大きな意義があると思います。

逆に、大阪市や大阪府が特にそういった動きを見せておらず、堺市とのギャップは個人的にも気になりました。

やはり「阪堺電車」という名称である以上、大の両者で盛り上げてほしいですね。

とは言え、天王寺と難波をLRT(ライトレール)で結び、そのまま新大阪駅までの路線構想もあるようなので、決して大阪市や大阪府も路面電車を否定しているわけではなさそうです。

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日本一の超高層ビル懐かしい路面電車との組み合わせは、大阪の天王寺でしか味わえません。

こうした観光資源に加え、民間企業を支援する行政(堺市)の姿勢は、LRT(ライトレール)が世界的に再評価されている時代に沿っていると言えるでしょう。

今後の動向にも期待ですね!

 

jp

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