2015.04.13 動物

獣害の被害が深刻化!その背景にあるものは?

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獣害の被害には様々な野生の動物が関わっています

この豊かな田園風景に何が起きているのでしょうか?

棚田写真

今、日本の農業は様々な課題がありますが、その一つに様々な野生動物による獣害の被害が発生しているのです。

シカ、イノシシ、サル、ハクビシン、アライグマ、クマ、カラス、トビ・・・・

こうした動物たちも、本来であれば自らの生息の地で、相互に共生しながら生きてきたのです。

皆さんも子供のころ、近くの山にこうした風景があったのを覚えていませんか?

都会生まれの方にはピンと来ないかもしれません。

でも、東京都心近郊の武蔵野あたりでも、少し前まで、ごく普通の風景だったのです。

地方に行けばもちろんのことです。

satoyama

こうした環境には、広葉樹を中心とした森林が広がり、下草もしっかり管理され、人も 生活のために薪炭や落葉の採取に出入りしていた山があったのです。

こうした山は「里山」とも呼ばれますが、人間の住む集落と動物が住む山との中間的な世界であり、共生的な空間として生物の多様性を、絶妙なバランスで育んでいたのです。

昔から、里山では、野生の鳥獣とは一定の緊張感を持ちながら人々の生活が営まれてきました。

しかし、近年そのバランスが崩れ、特にシカイノシシによる農業被害が頻発していることで、鳥獣被害問題が、里山をはじめとして地域社会にとって極めて重要な課題となっています。

現実に、農作物被害額は年間200億円前後にまで上っているのです。

その被害面積は9千haで、この面積は東京ドーム約2000個分に相当するのです。

田園風景2

 

日本の戦後の経済成長と「緑の革命」で日本の田園風景が変わった

さて、以下のグラフは開発途上国のコムギ平均収量の推移(1950〜2004年)を示すグラフです。

日本においても1961年の農業基本法の制定に伴い、人口の増加や首都圏への人口集中に対応するため、食糧増産のための施策がいろいろ講じられてきました。

化学肥料の使用、耕作地の集約化、農業機械の投入などといった取り組みです。

これらは、いわゆる「緑の革命」と呼ばれています。

そして、日本の単位収穫量も飛躍的に増大しました。

こうした、取り組みは日本の農業、そして、農業を営む農村社会に大きな変化を引き起こしました。

さらに、高度経済成長に伴って、農村社会から都会への人口移動が始まったことにより、若者の多くが東京をはじめとした大都市へ移動し、日本の高度成長の担い手になっていきました。

その一方で、農村では農業技術の進歩もあり、生産量の拡大を図りながらも、農業従事者の高齢化が加速していったのです。

 

今後の獣害被害への対策はどうする

近年の獣害の被害は、シカ、イノシシ、サルによるものが全体の7割を占めています。

里山が荒廃していること、また、中山間地で耕作放棄地が拡大していることも、被害を拡大している原因になっています。

少子化の進展、若者の農業離れ、農業従事者の高齢化の進展、これらはもちろん、時代の流れではあります。

ただ、こうした悪循環を断ち切るために、いろいろな対策は取っていかなくてはなりません。

 

対策の一つが「ジビエ」としての活用

ある地域では、集落ぐるみで獣害の被害を拡大させないような取り組みをしています。

まずは、野生鳥獣を集落内に入れないようにする工夫です。

たとえば、防護柵を設置するとか、餌場と化した耕作放棄地をきちんと管理することなどです。

また、鳥獣被害対策実施隊を設置して、狩猟に関する技術や活動経費支援等も、自治体が政策として行っています。

その中でも、特に注目されている対策は、捕獲したイノシシやシカを食肉(ジビエ)として活用するということです。

イノシシ肉は、ボタン鍋として、一般の需要があります。

また、シカ肉はイノシシに比べればマイナーではあるものの、十分に地域資源としての活用が可能です。

鹿肉 蝦夷 ダウンロード

しかし、現状は実際に捕獲された鳥獣は、ほとんど活用されていないというのが実態なのです。

それら捕獲された鳥獣のうち、ほとんどが捕獲現場での埋設処理、または、ゴミ焼却場での焼却処理されています。

食肉利用されているのは、正確な数字は不明ですが、1割にも満たないというのが実情なのです。

農作物を食い荒らす厄介者の野生動物も、食肉や加工品などに活用できれば、貴重な地域資源に変わります。

さらに、付加価値を付けて販売すれば、立派に地域の収入減になるのです。

 

地域資源としての活用を積極的に考えていこう

実際に、政府も地方・地域の活性化に向けた取り組みを活発化しています。

地域創生本部がその役割を担っており、農業を中心とした六次産業化も唱えられています。

一次産業の農林水産業、二次の加工業、三次の流通サービス・小売りです。

全てを合わせて、六次産業というわけです。

獣害の被害は、地域の農業を破壊しています。

したがって、人間との共生ができない野生動物は捕獲せざるを得ません。

ですが、命を無駄にすることなく、地域活性に役立てるためににも、地域資源としての活用を積極的に考えていくべきではないでしょうか。

 

※ 希望日本研究所 第2研究室

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