2015.06.21 村上春樹

「羊をめぐる冒険」にでてくる村上レシピは、誰かを待っている時に登場する

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「羊をめぐる冒険」の村上レシピの料理シーン

村上レシピは村上春樹小説にたくさん登場する。

どれも簡単に作れそうな手軽なものばかりではあるが、実際にはどうだろう。

シンプルな村上レシピなだけ、味や火加減、ゆで時間などこだわりがでる。

小説の中の料理シーンは、読んでいるだけでおなかがすいてくる。

(参考記事:「ダンス・ダンス・ダンス」村上春樹著に出てくる料理のレシピ化 

それも狙いの一つだという村上春樹さんの言葉をどこかで読んだ。

「羊をめぐる冒険」の主人公が料理をする時は「誰かを待っている」状況が多いようだ。

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「羊をめぐる冒険(下巻)」の羊男のための村上レシピ

「羊をめぐる冒険」は3部作の3作目にあたる。

1作目はデビュー作の「風の歌を聴け」で、「1973年のピンボール」が2作目。

「ダンス・ダンス・ダンス」はこれら3部作の続編とも呼ばれている。

「羊をめぐる冒険」は翻訳されて海外に紹介された初めての作品でもある。

村上春樹さんはこの小説の成功原因について

「<羊>は何かということが僕自身が分からないせいだと思うんですよ。」

と語っている。(『文學界』1985年8月号「『物語』のための冒険」村上春樹)

(参考記事:「羊をめぐる冒険」等の村上春樹さんの長編作の比喩について

北海道から送ってきたなぞの「羊」の写真の中に1匹だけ星の斑紋があった。

主人公の「僕」は、ある日突然その「羊」を探さなければ「君の会社も君もおしまいだ。」と脅迫を受ける。

「羊」を探しに、北海道まで来た「僕」は、友人「鼠」の父親が残した別荘で雪の中、待つ。

まるでレストランが開けそうな調理器具や食材、スパイスが揃っている別荘で料理する「僕」。

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「羊男」(なぜか羊の皮を頭から被っている男)が去ってから3日後に作る「ローストビーフと鮭のマリネ」。

ちなみに「羊男」は「ダンス・ダンス・ダンス」や「羊男のクリスマス」等、村上春樹小説のあちこちに登場する。

主人公「僕」は、「鼠」(1973年より放浪し、29歳)が経営をし「僕」が料理をつくる「山小屋レストラン」を想像する。

「羊男」が戻ってくる場合を考え、「ローストビーフ」を作り「鮭のマリネ」のつまみも作る。

 

【ローストビーフと鮭のマリネ】

ローストビーフ

  1. オーブンを予熱230度に温めておきます。
  2. にんにくをすりおろします。
  3. 室温の牛ロース肉に岩塩、粗挽コショウ、おろしにんにくをすりこみます。
  4. オーブンの天板にお好みでスライスしたニンニク、タマネギ、セロリ、ローズマリー等をしきたこ糸でしばった肉をのせます。
  5. 肉の上からブランデーをかけ、バターをのせます。
  6. オーブンで約50分焼き、途中天板にたまった肉汁を何回かかけます。
  7. 焼き終わったら肉をアルミホイルで包み、室温で30分以上放置します。

 

・グレーイビーソース

  1. フライパンにバターをしき、天板に残った肉汁を入れます。
  2. 焦げ付いたものも溶かすように混ぜ煮立たせます。
  3. 9を濾し鍋に入れます。
  4. 赤ワイン、塩、こしょう、お好みでウスターソースを入れて一煮立ちさせます。

 

・盛りつけ

  1. ローストビーフをスライスし皿に盛りつけ、グレービーソースをかけます。
  2. ホースラディッシュとクレソンを添えます。

 

鮭のマリネ

・ドレッシング

  1. 玉ねぎ、パセリをみじん切りにします。
  2. 白ワインビネガー、レモン汁、おろしにんにく、オリーブオイル、塩、コショウを混ぜ合わせます。
  3. 2に1を入れます。

 

・鮭

  1. 薄くスライスした鮭に皿に盛り、黒オリーブをちらします。
  2. ドレッシングをかけます。

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時間がたっぷりある中、「羊男」も「鼠」も出てこない。

「僕」はパンを焼いたり、鮭をおろしたり、ピラフを炊いたり、と食材の豊富な別荘を料理をする。

デーザートのチーズ・ケーキを食べた後の3時のデザートは、「ヘイゼルナッツ・アイスクリームのコアントロがけ」。

物語の謎はさらに深まる。

 

【ヘイゼルナッツ・アイスクリームのコアントロがけ】

  1. ヘイゼルナッツは細かく砕きます。
  2. バニラアイスクリームの上に砕いたナッツをちりばめます。
  3. 1にコアントロ*を小さじ1杯かけます。

*コアントロ(Cointreau)とは:

創始者エドゥアール・ジャン・コワントロー(Edouard-Jean Cointreau)が開発したフランス産のリキュール。

アルコール度数40度。創始者エドゥアール・ジャン・コワントロー(Edouard-Jean Cointreau)が開発

スピリッツに主にビターオレンジ、スイートオレンジの果皮などに極秘の成分を加えて香味を抽出。
それを蒸留し、スパイス類で香味を調整して作られたリキュール。
アイスクリーム

ヘーゼルナッツ・アイスクリーム

 

退屈しのぎに広い別荘を掃除し、「たらことバターたっぷりと白ワインと醤油」を使ったスパゲティーをつくる「僕」。

 

【たらこスパゲティー】

  1. なべにお湯をわかし、沸騰したら塩を入れます。
  2. スパゲティーをアルデンテにゆでます。(アルデンテ:スパゲティーの袋に表示された湯で時間の1分前に固さを確認しながらタイミングをみる)
  3. たらこをフォークを使いほぐし、ボウルに入れます。
  4. 3に白ワイン、醤油をたらこにふりかけます。
  5. ゆであがったスパゲティーの水気をよくきり、オリーブオイルをふり、かき混ぜます。
  6. 5をボウルですばやく、たらこと混ぜます。
  7. 最後に白ワイン、醤油で味を調えます。

白ワインに合いそうだ。

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村上レシピと欠かせない音楽

世界で一番売れている小説家ともいわれている村上春樹さんの人気の秘密はたくさんあると思うが、小説の中の音楽と料理のバリエーションの多さも大きな魅力だ。

村上春樹さんのその深く豊富な知識には驚かされる。

デビュー作「風の歌を聴け」(村上春樹著 講談社)には突飛なレシピもでてくる。

それは「鼠」が好物の「ホット・ケーキのコカ・コーラがけ」だ。

5月、主人公が親友「鼠」の大きな家を初めて訪れた時、テーブルを外に出し「鼠」が食べていたのが「ホット・ケーキのコカ・コーラがけ」。

何枚も重ねたホット・ケーキをナイフで4つに切り、その上にコカ・コーラを1本かける。

「鼠」は「食事と飲み物が一体化している」のがいいと。

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ホットケーキとバター

 

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