2015.03.26 鉄道

鉄道各社のいまどきのホームドア事情

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ホーム上は危険がいっぱい 今こそホームドア導入で安全対策を!

大きなニュースとなった2001年の新大久保駅での転落事故を契機に、社会的にも駅のホームからの転落事故防止を求める機運が高まり、様々な対策がとられてきました。

そういった中で2014年9月末現在、JRをはじめ地下鉄や私鉄各社など全国で593駅(約300駅が首都圏)へのホームドア導入・設置がされていますが、国内全体から見れば6%程度でまだまだ氷山の一角に等しいのが現状です。いまだホームでの安全対策が万全ではない駅が大半を占めています。

統計では、ホームからの転落事故やホーム上での接触事故が記録として残されるのは、列車が止まり死傷者が出た場合に限られるので、事故が起こっても何事もなく済んでいる場合は記録には残されていません。

したがって、転落・接触事故の件数は、そういったものを含めればもっと多いはずです。

 

いざという時のためのホームドア

いずれにせよ、ホームからの転落事故はめずらしいことではなく、それほどに多いといえるでしょう。

ですから自らを転落・接触事故から守るには、どんなときでも「ホーム上は危険な場所だ」という気構えを持つようにすることが大切です。

とはいえ、常日頃からそのような心構えを持っていても、急な体調不良などを起こしたりするときもあるでしょう。

また、自分以外の不特定多数の人々が所狭しと行き交うホームにおいては、危険から身を守るのは自分だけの問題ではありません。

ですから、いざ!という時に危険から身を守るホームドアの設置が必要なのです。

ホームドアについては、国土交通省が検討会を設け、ホームドア設置の促進を検討しています。しかし、さまざまな問題が重くのしかかり、なかなか普及が進まない状況でした。

2011年8月にはその検討会の中間報告において、転落防止対策を優先するべき駅として「一日平均10万人以上の利用者がある駅」(約240駅)という数字による指針が出されました。

具体的な数値目標が示されたのは初めてであり、全国的な普及に向けてこれは大きな前進です。

その方針にしたがって、鉄道各社による都心のターミナル駅を中心としたホームドアの整備促進が少しずつ進んできているのは確かです。

 

ホームドアの設置・普及のため、さらなる改良が!

国土交通省としても上記の方針にしたがって、メーカーや鉄道会社に対し補助金などを供して次世代型ホームドアの普及に努めようとしています。

現在、鉄道各社ですでに設置しているホームドアには、「フルスクリーンタイプ」と「可動式ホーム柵」の2種類が存在するのですが、既設の駅へホームドアを導入する際は、よりリーズナブルな可動式ホーム柵が主流を占めています。

リーズナブルであるとはいっても、ホームドアの導入には事業者に大きな負担を強いるため、導入の進行具合が遅々として進まない状況です。

もちろん鉄道各社も手をこまねいているわけではありません。

すべての駅への導入をめざし、様々な改良・試験が行われています。

今の状況を打破してさらなる利用客の安全を守るため、新たな技術やアイディアを採り入れた新しいタイプのホームドアの研究・開発が進められているのです。

可動式ホーム柵の利点を生かしつつ、さらに、導入を阻んでいる理由を軽減するための工夫を取り入れて、今なお模索が続けられています。

そして今、それら新型ホームドアは機能確認や問題点の洗い出しなどを目的に、すでに実証・検証試験が実際の営業運転の場で行われる段階に入っています。

 

進化を続けるホームドア 〜「次世代型」ホームドアが続々登場〜

従来のホームドアは異なるドア数・位置の車両が混在することを想定していないため、列車がホームに着いてもホームドアがあって乗降できないということになってしまいます。

そして、扉を開閉したときにその扉を格納する戸袋が必要なため、ホーム上のどこでも乗り降りが可能にすることができなかったのです。

そこで、扉の部分を昇降させたり移動させたりすることによって、列車のドアの数や位置が異なっていても容易に対応できるようにすることが、新型ホームドアの改良の核となる部分です。

ちなみに、JR山手線は以前6扉車が運行されていましたが、ホームドア導入に合わせて4扉車に統一されています。山手線から6扉車がいなくなった理由は、実はこんなところにもあったのです。

 

ホーム「ドア」ではなく「ロープ!?」

ロープ式ホーム柵は乗客と列車を隔て、従来のような扉状のものとは違い、門型に設置された支柱の間にワイヤーロープ(複数本のステンレスワイヤー)が張られていて、乗客と列車を隔てています。

列車の動きに合­わせて上昇して(下記動画参照)、列車がホームに到着した時にはこのロープが頭上まで上がることによって乗り降りが可能となります。

この方式の特長は、支柱の間隔を調整することによって様々な車両のドア数・位置に対応できる点です。

逆に言うと、ここがホームドアの普及を阻む理由の一つとなっていました。

そこで、ドア部分を昇降式にすることによって、戸袋が不要となり、支柱部分以外の全面を開放することができ、列車がホームに着いてもホームドアがあるために乗降できないということはなくなります。

■東急田園都市線つきみ野駅:昇降ロープ式ホーム柵

視認性がよい「バー」タイプのホームドア

バー式ホーム柵はロープではなく、太く頑丈なカーボン製のバーにすることによりホームにいる乗客の視認性も向上させています(下記動画参照)。このホーム柵は、支柱の間にバーが張られていて、列車が到着するとこのバーの間隔が狭まり、それと同時に支柱が頭上まで伸びて乗り降りが可能となります。

バーの間隔を狭める点や支柱の構造が独自のものなど、いろいろなタイプが検証されています。3扉車と4扉車の両方に対応できるホーム柵として実験・改良を重ねており、いくつかの駅でこのホーム柵を導入することが発表されました。

■相鉄いずみ野線弥生台駅:昇降バー式ホーム柵
 

従来型のホームドアにも画期的な改良が!?

乗降位置可変式ホーム柵の最大の特徴は、扉の開口部だけでなく戸袋部分も移動可能で、あら­ゆるドア数・車体長の列車に対応することができるところです(下記動画参照)。

ドア数の違いで開口部が異なるだけでなく、到着時と発車時­で柵の位置を変更することによって、利用客の駆け込み乗車防止にも対応することができます。

戸袋部分もろとも移動しているので、上記ロープタイプなどの弱点といわれる、昇降時の接触やぶら下がり、手荷物の落下なども防止することができるのが強みです。

■西武新宿線新所沢駅:「どこでも柵(入り口移動式)」ホーム柵
 

ロープ式やバー式のホーム柵は、従来のホームドアに比べて格段に軽量化されているのも特長のひとつです。

そのため、設置にあたってはホームの土台を補強する必要も少なく、長期間の工事で利用者に不便な思いをさせることがありません。

一般的に後からホームを補強するのは大変な工事となるため、軽量なホーム柵の開発は今後の普及の後押しとなることは間違いないと思われます。

これら次世代型ホームドアの開発が進むことで、これまで導入条件を阻む障壁があって設置が難しかった路線や駅などへのホームドア導入が進み、同時に利用者の安全がより高められるという期待も膨らみます。

 

※希望日本研究所 第8研究室

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