2015.05.28 鉄道

発想の転換!新大阪駅のホームで見た、人身事故対策のちょっとした「ひと工夫」

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人身事故が10年で倍増

11月7日午後10時20分ごろ、兵庫県明石市大明石町のJR山陽線明石駅ホームで、ショッキングな人身事故がありました。

JR明石駅に停車しようとしていた電車が、55歳の医師の男性の頭部に接触、男性が命を落としてしまうというものです。

運転手が「ゴン」という音を聞いて、あわてて非常ブレーキをかけたが、男性は頭を強く打ち、 そのままかえらぬ人となってしまいました。

警察の調べによると、その男性は事故が起きる直前、ホームで吐いていたそうです。

おそらく、ベロベロになるまでお酒を飲んでいて、酔っ払って吐いている途中、電車がホームに入ってきてそのまま気づかずに接触してしまったようです。

150人の乗客にはケガはなかったようですが、この事故が原因で、運休や遅れにより約7200人に影響が出てしまいました。

 

駅のホームから線路に転落する人身事故が増加中

実は、ホームでの鉄道の人身事故は全国的に増加しています。

国土交通省の調査によると2003年度の106件に対し、13年度は221件と倍増しています。

今年の9月には、JR京都線で人身事故が3日連続で発生したり、また、11月にはJR神戸線でも人身事故と架線トラブルが立て続けに発生し、乗っていた約5000人が、やむなく線路を歩くことになりました。

もちろん、JRだけでなく、私鉄の阪急・阪神でも線路内に転落した客を電車がはねる人身事故が起きています。

 

人身事故の対策は

こういった人身事故を防ぐには、ホームドアの設置がいちばん効果的です。

首都圏においてはJR山手線の大部分の駅で設置されており、また東京メトロや私鉄各社の路線にも設置が進められています。

それに比べて、関西エリアは少し出遅れているみたいです。

ホームドアの設置状況

ホームドアの設置状況(平成26年9月末現在)
国土交通省調べ

今のところ、大阪・神戸・京都の一部の駅にしかホームドアは設置されておらず、まだ数が少ないというのが現状です。

 

人身事故防止のため酔った客の行動パターンを分析

最初のショッキングな事故もそうですが、ここ10年で倍増しているホームでの人身事故のうち、酔った客による事故は4倍に激増しているのです。

この現実を受けて、JR西日本は転落による人身事故を映像で調査し、酔った客の事故直前の行動パターンを分析しました。

結果は、約60%の人が「ホーム上の酔客が突然線路に向かってまっすぐ歩き始め、そのまま転落」し、また、「立った状態から突然バランスを崩して転落」する人が約30%を占めました。

意外にも、酔った客といえば誰もがイメージするような「ホームの端を線路と平行に歩いている最中に、ふらついて足を踏み外して転落」する人は、10%ほどだったそうです。

しかも、大半が動きだして数秒後には線路に転落していたようです。

 

発想の転換!ちょっとした「ひと工夫」

その分析結果を受けて、JR西日本は新大阪駅のホームで、ホームからの酔った客の転落を防ぐちょっとした「ひと工夫」を施しました。

ニュースでも画期的な試みとして報じられていましたので、ご存知の方もいることでしょう。

私も、思わず「へ~」っと感心してしまいました。

それが、この写真です。

そう、座った時に横向きになるように、線路と垂直にな方向にベンチの向きを変えたのです。

ベンチの方向を変えて、線路までの距離も延ばすことによって、ベンチから突然立ち上がった酔った客の転落事故を防ぐのが狙いです。

たしかに、これだったら距離も稼げるし、周囲の人が止めに入るまでの時間が稼げます。

な~んでこんな単純なことに今まで気付かなかったんだろう。

まさに発想の転換ですね。

新大阪駅では、4本あるホームの25カ所のベンチすべてに対策を講じ、手始めに新13番、14番ホームで実施しました。

2015年4月現在、このベンチを導入している駅は、近畿地方に9駅、中国地方に6駅あるみたいです。

JR西日本ではこの新大阪駅をはじめに、今後もホームの広い駅を中心にベンチの置き換えを進めるみたいです。

また、乗降客の多い駅には警備員を配置し、声かけや見守りを強化していく方針です。

こういった試みが、うまく事故防止につながればいいですね。

 

※希望日本研究所 第8研究室

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