2015.05.18 選挙

「大阪都構想」住民投票で実際に行われた投票率向上策

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「投票率の向上」に力を振り絞る選挙管理委員会

大阪市を解体し5つの特別区を設置する「大阪都構想」の住民投票が、2015年5月17日に実施されました。

有権者約214万人という史上最大の住民投票は、地域政党「大阪維新の会」代表を務める橋下徹・大阪市長の政治生命を左右する意味でも注目されました。

今回の住民投票の当日有権者数は210万4076人で、投票率は66.83%というまずまずの高い結果となりました。

結果は、事前の報道各社の情勢調査の通り反対が賛成を上回り、「大阪都構想」が否決、橋下徹・大阪市長(維新の党最高顧問)が政界引退を表明しました。

 

通常の選挙とは異なる「住民投票」のルール

今回の大阪市の住民投票は、大都市地域特別区設置法(大都市法)に基づく選挙ルールが今回初めて適用されるため、異例ずくしの選挙戦となりました。

大都市法が定める住民投票のルールは公職選挙法を準用しています。

したがって、通常の選挙と同様に、戸別訪問の禁止、期日前投票の実施などは同じですが、一方で、ポスターの枚数や街宣車の台数、テレビCMにも上限がないなど、通常の選挙とは異なる点が多くなっています。

これは、投票が賛成・反対を問うもので、候補者が立つわけではないということがその要因です。

加えて、賛否の呼びかけも投票日当日まで可能で、投票締め切りの瞬間まで「最後のお願い」を続けてもいいようになっています。

たとえば、通常の国政・地方選挙では候補者ポスターを貼り出す場所は掲示板に限られますが、住民投票では内容や枚数に制限はなく、貼り出す場所に制限はありません。

ポスターだけでなく、ビラの枚数や種類にも制限がなく、街宣車の台数やウェブサイトや電子メールの利用、テレビCMや新聞広告なども、同じように制限がありません。

賛成、反対の街頭演説、集会、ビラ配りは活発に行われ、公報も市内の全戸に配布、大阪維新の会は橋下徹代表が登場するCMを連日放映しました。

議員の選挙運動も異例なもので、自民・民主・共産など各党が政党の壁を越えて反対に回って選挙協力を行うといった、通常の選挙では考えられないものとなりました。

また、今回の住民投票では、市選管が異例の啓発活動を展開していました。

市選管は今回、過去最大の予算を投入し、「フラッシュモブ」と呼ばれる街中で突然演奏やダンスを展開するパフォーマンスに初挑戦するなど、独創的な啓発活動で投票に臨みました。

さらに、人出の多いゴールデンウィークには、映画館でCMを流したり、投票日などが記された付箋、ウエットティッシュなどの啓発グッズをスタッフが直接手渡したりしました。

 

投票日当日は高い投票率をマーク、しかし様々な課題も

これらの啓発活動、さらには橋下代表の進退問題という話題も相まって、約67%という高い投票率をマークしました。

大阪市内全域で行われた国政・地方選挙と比べると、最近10年で最も高かった2009年の衆院選の65.00%や、大阪府知事選とのダブルで行われた11年の市長選の.60.92%を上回るものです。

選挙活動への制限が緩くなったことに伴い、違法行為を除いて半ば自由な選挙運動を行うことができるようになりました。

それにより市民の関心が高まり、投票率が高まったといわれています。

しかし、その裏で、真偽は不明ですが無差別での電話攻勢、賛成派・反対派を問わず相手への誹謗中傷めいた発言や、ネットでの投稿などが行われていたという話も聞きます。

さまざまな、話題を提供した「大阪都構想」住民投票ですが、今後投票率アップ施策を考えるうえでの重要な前例となりそうです。

 

※希望日本研究所 第8研究室

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