2015.10.18 選挙

国を挙げて投票率の向上に取り組む今、それに逆行するような投票所の削減が行なわれている問題

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投票率の低下の裏で投票所の削減が進行中

選挙における投票率の低下が、大きな社会問題となっています。

2014年12月に行われた衆院選では52.66%と過去最低を記録しました。また、2015年4月に行われた、統一地方選挙でも各地の選挙区で最低の投票率をマークしたと報じられています。

それらを受け、各自治体では期日前投票所を増やしたり、啓発運動を行うなど投票率の向上に向け様々な取り組みがされている中、そういった動きに逆行する動きが各地で行われています。

若者(20歳代)の「政治離れ」がどんどん進んでいるとされ、投票率低下の問題も若者世代を中心に語られることが多くなっています。

ですが、その裏では地方の高齢者を中心に投票に行きたくても行くことができない人たちが増えている状況も問題になっているのです。

では、具体的にはどういうことが行われているのか、それぞれ見ていきましょう。

 

市町村合併や過疎での統廃合による投票所の削減

2014年12月の衆院選に全国に設けられた投票所は4万8620カ所で、その前の選挙からは593カ所も減少していることとなります。

市町村合併に伴う統廃合や農村部を中心とした過疎化の影響で、市街地の投票所に統合したり、いくつかの投票所をひとつに集約したりというのがその原因です。

大きく減少したのは北海道、島根県、秋田県、新潟県と特に過疎化の進む地域が上位を占めています。

そうした影響で、衆院選の投票所の数は平成12年の5万3434カ所をピークに選挙のたびに減り続けているのです。

その一方で、東京、神奈川、埼玉の首都圏では逆に投票所が増えています。

投票所の数という点でも、都市と地方の格差が広がっているといえるでしょう。

過疎化の進む地域

 

選挙「立会人」の不足による投票所の減少

「立会人」とは、投票所の投票において不正がないかどうかを監視する役目を負った人です。

公職選挙法により、選挙の時は投票所に2名以上5名以下の立会人を付ける事が法律によって決まっています。

選挙管理委員会が、管轄する区域の有権者の中から選んだ人に依頼し、本人の承諾を得て立会人となります。

過疎の進む集落などの投票所では、有権者自体の数が減り、投票所に2名以上必要な投票立会人のなり手が人口減とともに少なくなってしまっているのです。

そのため、立会人の確保が難しい地域では投票所自体を閉鎖するパターンも増えているのです。

 

投票所が閉まる時間も早まっている

投票所の減少だけでなく、投票所の閉鎖時刻の繰り上げも進んでいます。

山間部などでは、全国の10000ヶ所以上の投票所で、本来の午後8時の投票終了時刻を1~4時間繰り上げています。

期日前投票が定着したことを背景に、夜間に足を運ぶ有権者が少ないこと、人件費の削減や開票作業が早まる利点もあるということを理由にそう言った早期の閉鎖を実施しています。

 

投票の機会を奪う動きに歯止めを!

そうした動きに対して、投票所の統廃合されたことにより、とても歩いては投票所に行けない地域が生まれてしまい、民主主義の基本である投票権・選挙権を奪う結果になっているとの批判も上がっています。

とある調査では、投票所が遠いほど選挙に行かなくなる傾向があるといいます。

第23回参院選では、投票所まで5分未満の人は77%が投票に行くが、20分以上の人は52%にとどまったということです。

それに加え、公共交通機関が少ない中山間地域などには車を運転しない・できない高齢の有権者もいます。

地区の投票所の集約によって、遠くの投票所に行かなければならなくなった人たちの中にはそのような人も多く、投票機会の確保が最重要課題です。

また、閉鎖時間の繰り上げは有権者の公平な投票機会を奪うことにつながりかねないだけに、慎重な対応が必要でしょう。

たとえ少ない人数でも、仕事が終わった後に投票する人などへの便宜は図るべきです。

 

投票機会の確保に乗り出した自治体も

そういった状況の中、対策に乗り出した自治体も存在します。

期日前に無料巡回バスを走らせ、集落の最寄りのバス停と期日前投票ができる役場などを巡回しています。

住民の大半が住む町の中心部には商店や病院が集中しており、買い物や通院で出掛ける「ついで」に投票を済ませることができるようにするためです。

また、投票所までの無料送迎バスを運行することを決めた自治体もあります。

「移動手段の確保を」という高齢者の声を受け、有権者を郊外から各地の投票所まで送迎するものです。

そして、期日前投票所がある役場行きの公営バスの無料券を全有権者に郵送し、投票を促して効果を発揮しているという例もあります。

 

国や自治体には投票機会の確保に積極的に取り組む責務がある

投票日に近所の公共施設で1票を投じる、といった当たり前だった投票風景が過疎地を中心に変わりつつあるようです。

高齢者の多い過疎地域では、投票所までの送迎よりも、東日本大震災の被災地ですでにに実施しているような『巡回期日前投票所』などの試みも検討すべきだと思います。

人口減少が進む中、投票所の問題はより深刻化します、そういった状況に、政府や自治体は積極的に対応していく責務があるのです。

 

政府が公選法改正案提出へ ~駅・商店街などでも投票可能に~

こうした現状を踏まえ、2016年1月、政府は国政選挙や地方選挙で低迷する投票率の向上を目指し、駅やショッピングセンターなどにも投票所を設置する方針を固めました

また、居住する自治体のどの投票所でも投票できるようにするそうです。

現行の公職選挙法では、有権者は住民登録している市区町村の中の学校や公民館など、あらかじめ選挙管理委員会によって決められた投票所でしか投票できません。

公職選挙法の改正によって、有権者の利便性を考え、市区町村内全ての投票所で投票可能とします。

さらに、利用者の多い駅や、大きい駐車場を備えたショッピングセンター、商店街などにも投票所を設置することにして利便性を向上させ、また、期日前投票の時間についても、市区町村の裁量で拡大することができるようにするといった内容を、改正案に盛り込むようです。

2016年夏の参院選からは、選挙権の年齢が「18歳以上」に引き下げられます。

改正案がそのまま成立すれば、投票人口の増加に合わせての導入となりそうです。

 

※希望日本研究所 第8研究室

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