2015.05.01 動物

200億円の農作物被害だけではない!身近に迫る野生動物事件・獣害被害

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獣害はあなたの身近にも迫っている

農作物への獣害の被害額は、年間約200億円で推移しています。

しかし、農作物への被害以外にも、直接、人間や人家が被害を受ける事件も多発しています。

最近のニュースで、香川県まんのう町でおきた事件では、イノシシに5人の住民が襲われ、そのうち1人が大ケガを負ってしまいました。

他の4人も負傷を負ったとのことです。

この事件は、決して奥深い山の中の話ではなく、田園の中の住宅が点在している所で発生しているのです。

イノシシ

 

野生動物による事件は私たちの日常的なところで多発している

なぜこうした状況になってきたのでしょう。

本来、イノシシは警戒心が強い動物で、人前に現れるようなことは滅多にありません。

また、イノシシは奥深い山には生息せず、いわゆる里山に暮らす動物です。

以前は、人間が里山をしっかりと生活の場として活用し、管理されていたため、イノシシは奥山寄りに生息して人前に出てくることは稀なことでした。

しかし、この里山が、少子化や高齢化の進行で農業後継者が減り高齢化したため、里山に人の管理がなかなか行き届かないケースが増えてしまったのです。

里山は、広葉樹を中心とした樹木で構成され、下草もしっかり管理され、人が暮らす住居との生活の連続性が ある場所です。

こうした里山は、人は生活のために薪炭や落葉の採取に出入りしていた所なのです。

そして人間の住む集落と、動物が住む山との中間的な世界があり、人と動物の住む空間として生物の多様性のある世界を育んでいたのです。

シカ

 

獣害の被害が急増中

もともと、イノシシは大きくなるにつれて、食欲も旺盛になり、繁殖力も増して人里に近づく傾向があります。

それに加え、里山の減衰や農地が耕作放棄地の増加で、イノシシが以前よりも人里近くに出没するようになってきてしまったのです。

畑を鼻で掘り起し、サツマイモやスイカ、稲などを食い荒らします。

さらに、雑食性で家庭の残飯なども狙ってくるのです。

近年、特に平成になって顕著になってきた傾向ですが、里山の荒廃で、竹藪がふえ、場所によってはゴミ捨て場になっている場所が拡大しています。

こうした場所は、イノシシの格好の餌場となり、繁殖の場となり、その結果、野生動物の生活圏が人里により近づくことになってしまっているのです。

こうした状況は、日本の地域のあらゆるところで見られる傾向なのです。

シカ

 

実は野生動物は危険な動物

人身にまで危害を及ぼす動物とは、どんな動物なのでしょうか。

代表的なところでは、先ほどあげたイノシシに加え、ツキノワグマ、エゾヒグマ、サル、野犬などが挙げられます。

では、これらの動物による危害の特徴をまとめてみます。

イノシシ 足が速く狂暴、人間は襲われるとなかなか逃げ切れない。併せて牙をもっているので大けがになることが多い。
ツキノワグマ 普段は山間部にいることが多いのですが、実際に山で遭遇し、殺された事件も相当にあります。牙と爪で襲いますが、大きな殺傷力を持ってます。本州以南に生息している。
エゾヒグマ 北海道のみに生息していて、大きなものでは数百キロにもなります。破壊的な殺傷力を持っていいて、人間の力ではとても太刀打ちできない。
野犬 全国の山間部に生息しています。犬の習性で集団生活していて、人を噛んで襲います。頻繁に発生していて、危険な存在。
すばしっこく、また知能が発達してるため、人里近くでは住宅が荒らされたり、倉庫が荒らされる。また噛まれたりして大けがになる例もある。

 

最近ニュースになった実際の獣害事件

2015年4月29日  香川県まんのう町 イノシシに襲われ男女5人負傷、一人重傷
2015年4月23日  岩手県北上市 岩手の住宅街でクマ射殺
2014年10月25日  岐阜県飛騨市 住宅街にクマ出没 70歳男性ひっかかれ、負傷
2014年10月20日  富山県富山市 富山市南部の住宅街でクマの出没相次ぐ
2014年9月28日  福島県耶麻郡猪苗代町 クマに襲われ男性ケガ 猪苗代で山菜採り、引っかかれる
2014年9月27日  岐阜県高山市 林業の男性ケガ
2014年9月27日  福島県南会津郡南会津町 クマに襲われ男性重傷 南会津の山林でキノコ採り中
2014年9月23日  長野県大町市 男性襲われケガ 目撃相次ぎ長野・大町が警報発令
2014年9月23日  山形県西置賜郡小国町 クマに襲われ男性けが、足で蹴って撃退 小国・県内今季初
2014年9月23日  岐阜県大野郡白川村 夫婦がクマに襲われる 白川郷近くに出没 岐阜県白川村
2014年9月21日  福井県あわら市 小学校近くの畑に熊、男性が負傷 あわら、登下校の見守り強化
2014年9月10日  福島県会津若松市 若松でクマに襲われ軽傷 72歳男性、県道で遭遇
2014年9月10日  石川県金沢市 金沢市のど真ん中にクマ出没か 昨年12月に続き
2014年8月27日  岩手県紫波郡紫波町 顔・首に深い傷…クマに襲われ男性大ケガ
2014年8月14日  山梨県北杜市 河川敷にクマ出現、釣り客襲われけが
2014年8月10日  石川県金沢市 散歩中の男性、クマに襲われ大ケガ
2014年8月5日  福井県大野市 大野の亀山にクマ出没、入山規制
2014年8月4日  福島県耶麻郡猪苗代町 農作業中、クマに襲われ重傷 猪苗代で88歳男性
2014年8月3日  長野県長野市 クマ被害 男性襲われ大けが
2014年7月28日  富山県南砺市 南砺・平クロカンコース近くで54歳男性 クマに襲われる
2014年7月13日  青森県弘前市 山菜採りの男性、クマに襲われケガ
2014年7月4日  京都府宮津市 クマ出没、水族館休館 京都・宮津の丹後魚っ知館
2014年7月1日  岐阜県下呂市 散策中の29歳男性がクマに襲われケガ
2014年6月28日  岐阜県揖斐郡揖斐川町 アユ釣り男性がクマに襲われ軽傷
2014年6月28日  石川県金沢市 住宅地周辺でクマの親子が…63歳男性襲われ大けが
2014年6月27日  山形県南陽市 クマがサクランボ食い荒らす
2014年6月26日  宮城県大崎市 農作業中の男性がクマに襲われ重傷
2014年6月22日  秋田県大館市 犬の散歩中にクマに襲われ男児ケガ
2014年6月22日  島根県益田市 クマに襲われ男性ケガ
2014年6月21日  福島県南会津郡南会津町 クマに襲われ男性重傷 南会津の山林、頭や腹かまれる
2014年6月6日  福島県耶麻郡磐梯町 福島県耶麻郡磐梯町 クマに襲われ重傷 磐梯で山菜採りの男性
2014年5月31日  福島県喜多方市 クマに襲われ男性重傷 喜多方で山菜採り、1人で入山
2014年5月29日  福島県大沼郡会津美里町 美里で山菜採り中にクマに襲われ71歳男性けが
2014年5月24日  岩手県一関市 クマが市街地に出没
2014年5月21日  北海道千歳市 住宅地に子連れヒグマ 地域で警戒
2014年5月19日  兵庫県朝来市 クマの出没相次ぐ、通学路の警戒も
2014年5月17日  山形県米沢市 県内クマ目撃、前年の3倍 餌求め人里に
2014年5月14日  鳥取県鳥取市 クマをわなで捕獲 ミツバチ巣箱目当て?
2014年5月14日  岩手県宮古市 岩手・宮古のクマ出没件数5倍 餌不足で人里に
2014年5月13日  群馬県桐生市 市役所に出勤したらクマがいた 群馬・桐生、けが人なし
2014年5月8日  福島県耶麻郡猪苗代町 クマ出没、ニワトリ100羽被害 小学校が警戒
2014年5月8日  大阪府吹田市 群れから抜けた「はぐれ猿」 大阪府吹田市内で野生のサル目撃相次ぐ
2014年5月5日  岩手県遠野市 クマに襲われ山菜採りの夫婦 大けが
2014年5月4日  石川県白山市 クマに襲われ猟友会の男性けが
2014年5月3日  岩手県花巻市 70代女性、クマに襲われ大ケガ
2014年5月2日  福島県会津若松市 クマに襲われ男性けが 今年初、若松で山菜採り中
2014年4月28日  新潟県村上市 変死体 クマに襲われる? 顔に引っかき傷
2014年4月26日  山形県長井市 クマ目撃、足跡複数
2014年4月21日  新潟県村上市 男性が襲われけが クマは射殺される
2014年4月14日  埼玉県児玉郡美里町 イノシシ体当たり、観光中の男性重傷
2014年4月5日  山梨県北杜市 イノシシに襲われ男女3人けが

 

野生動物との共生を考えよう

野生動物を害獣とみるか、益獣とみるか、これはもちろん、私たち人間の営みへの影響が基準になるでしょう。

今年(2015年)2月に、犬猫殺処分ゼロを目指す議員連盟が立ち上がりました。

その一方、ペットとして飼われた犬や猫が、飼い主から見捨てられ、野良犬や野良猫となって、環境を悪化させるという現状もあります。

これは、益獣が害獣になってしまった結果です。

そして、保護されて引き取り手がなければ殺処分されます。

小鹿

先に述べたイノシシをはじめとした、野生動物による人間の負傷事故は、もちろん無いに越したことはありませんし、しっかり予防策は講じなければなりません。

場合によっては、動物たちと戦うことも必要です。

ですが、もともと、自然界では人と動物とが緊張関係を持ちながら、時には闘争しながら、共生していたのです。

私たち人間も動物であり、野生の動物もまた同じく命あるもの、もちろん、ペットとして飼われる犬や猫たちも同様です。

Homo_sapiens                  barbary_ape

野生動物による、年間200億円にも上る農作物被害は深刻なものです。

さらに、人身、人家への被害も身近に発生しています。

当然、こういう状況には人間が知恵をもって、しっかり防衛をしていくことが重要であり、必要があれば害獣としての駆除することも必要でしょう。

しかしながら、同じ命ある存在として、無用な殺生をせずにバランスある生態系を作り上げていくことこそが、本当に重要とされていることなのです。

 

※ 希望日本研究所 第2研究室

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