2015.04.28 パラオ

パラオの戦争から考えてみた、日本史にない3つの法則、長期籠城、ジェノサイド、ゲリラ戦とは?

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第二次世界大戦、パラオの戦争で日本は玉砕、1万余もの戦死者を出してしまいました。

今上天皇陛下の慰霊の旅が行われ、はじめて私たちは、この過去の事実を思い出したのです。

おびただしい数の英霊の死、異民族による殺戮は、日本史では空前絶後のことでした。

 

目をそむけたくなる死は、日本史の3つの法則を浮かび上がらせます。

世界史では常識でも、日本史にない3つの法則です。

①長期籠城②皆殺し(ジェノサイド)③ゲリラ戦―です。

 

歴史を振り返ると、そこには戦争や独裁者たちによる、おびただしいほどの死が存在しているのです。

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パラオの戦争からわかる3つの法則、長期籠城、ジェノサイド、ゲリラ戦

パラオの戦争から―

 

考えたくもない、目をそむけたくなるような多くの死を、あまり考えなくても良い国が世界の中に唯一あります。

日本です。

 

堺屋太一氏は著書「歴史からの発想」の中で、日本史の世界史にない大きな特徴を3つ挙げています。

 

 

日本の歴史をつぶさに調べれば、この国の人々の体験からほとんど欠落しているものが三つあることに気付く。それは、本格的な籠城戦、計画な皆殺し、そして人民の武装抵抗、つまりゲリラ戦である

 

と記しています。

 

①長期籠城②皆殺し(ジェノサイド)③ゲリラ戦―この3つが日本史にはない、というのです。

 

世界史上で、この3点が生じ得る要因は、ひとえに「異民族の侵略」です。

 

異なる倫理観を持つ異民族との戦いは、考え方と民族の存亡を賭けたものだから敵対者に対して峻烈を極める。異なる倫理を押しつけられてはかなわないからゲリラになっても抵抗する。ゲリラをやられては困るから皆殺しもしたくなる。皆殺しは怖いから非戦闘員も城壁のなかに入り、長期籠城に耐える

 

(堺屋太一著「歴史からの発想」)

ということなのです。

 

日本は

 

四面広い海で囲まれたこの島国は、古来、本格的な異民族の侵攻を受けたことがない。有史以来、日本が受けた異民族の組織的軍事侵略の唯一の例は―太平洋戦争を別とすれば―「元寇」であろう。だが、これとてもごく短期間、北九州の一部に上陸されただけで暴風によって救われた

 

(堺屋太一著「歴史からの発想」)

 

島国の特殊な自然環境・社会条件から、世界史史上にない、稀有な平和を日本史は連綿と続けることができたのです。

 

ヨーロッパのような、陸続きの国々における異民族同士の殺し合いが日常茶飯事だった歴史に対し、日本史は奇跡的ともいえる歴史を持つことができたのです。

 

しかしその日本も先の第二次世界大戦では300万人もの、英霊をはじめとした日本人の死を受け入れざるを得なかった―。

防衛論議などが高まる中、改めて私たちは自らの歴史の特徴を、考え直さなければならないのではないでしょうか。

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パラオの戦争含め日本の犠牲者は300万人

パラオの戦争―

 

さて世界史のおびただしい死とは?

 

研究者・本川裕氏が社会実情データ図録で示しています。

以下の表でわかりやすく表示されています。

 

世界の主な戦争及び大規模武力紛争による犠牲者数(16世紀以降)

戦争及び大規模紛争 時期 死者数(人) 非戦闘員の
犠牲者の割合(%)
農民戦争(ドイツ) 1524-1525 17万5,000 57
オランダ独立戦争(対スペイン) 1585-1604 17万7,000 32
30年戦争(ヨーロッパ) 1618-1648 400万 50
スペイン継承戦争(ヨーロッパ) 1701-1714 125万1,000 不明
7年戦争(欧州、北米、インド) 1755-1763 135万8,000 27
フランス革命/ナポレオン戦争 1792-1815 489万9,000 41
クリミア戦争(ロシア、フランス、英国) 1854-1856 77万2,000 66
南北戦争(米国) 1861-1865 82万 24
パラグアイ対ブラジル・アルゼンチン 1864-1870 110万 73
普仏戦争(フランス対プロイセン) 1870-1871 25万 25
米西戦争(米国対スペイン) 1898 20万 95
第1次世界大戦 1914-1918 2,600万 50
第2次世界大戦 1939-1945 5,354万7,000 60
中国国共内戦 1946-50 100万 50
朝鮮動乱 1950-53 300万 50
ベトナム戦争(米国の介入) 1960-75 235万8,000 58
ビアフラ内戦(ナイジェリア) 1967-70 200万 50
カンボジア内戦 1970-89 122万1,000 69
バングラデシュ分離独立 1971 100万 50
アフガン内戦(ソ連の介入) 1978-92 150万 67
モザンビーク内戦 1981-94 105万 95
スーダン内戦(1995年現在) 1984- 150万 97

(注)Ruth Leger Sivard, World Military and Social Expenditures(1991,1996)による。

(資料)レスター・R・ブラウン「地球白書1999-2000」(1999)

 

第一次世界大戦の2600万人、第二次世界大戦の5000万人が、それぞれ突出しています。

戦闘機、化学兵器など武器の発達の結果によるものが大きかったと考えられます。

 

第二次世界大戦における日本の犠牲者は262万人~312万人とされています(戦闘での死者数、行方不明、事故、病気、捕虜としての死者数も含まれる、コモンウェルス戦争墓地委員会データから)。

 

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独裁者による犠牲者は?

パラオの戦争にはないですが、一方の独裁者によるものです。

 

大阪経済大学経済学部教授の黒坂真氏は「独裁体制の経済理論序説」の中で、

 

共産主義体制全体で、囚人労働や内戦、強制移住、餓死などにより殺害された人びとの数として、クルトワ(Courtois、1999、P4)は概数として、ソ連では2000万人、中国では6500万人、ベトナムで100万人、北朝鮮で200万人、カンボジアで200万人、東欧で100万人、ラテン・アメリカで15万人、アフリカで170万人、アフガニスタンで150万人、コミンテルン(世界共産党)関係で1万人、合計で約1億人が殺されていると述べている

 

と記しています。

 

具体的な独裁者は、ソ連がスターリン、中国が毛沢東、北朝鮮が金日成を、それぞれ挙げています。

 

戦争による犠牲者、独裁者による殺戮、平和な日本史とかけ離れた世界があります。

それだけに先の大戦、その後の日本史の歩みを、もう一度私たちは見つめなおす必要がありそうです。

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