2015.04.30 鉄道

三菱重工がホームドア「どこでもドア(R)」開発!

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三菱重工が「どこでもドア」を開発?!

開けるだけでどこにでも瞬間移動できる「どこでもドア」。

ドラえもんに出てくるひみつ道具のなかでも特に人気が高いものです。

「どこでもドア」さえ開ければ、そこはもう会社や学校。満員電車に揺られることもなければ、遅刻をすることもない……なんて妄想する人も多いのではないでしょうか。

そしてビッグニュースが飛び込んできました!

三菱重工が「どこでもドア(R)」開発!

ついに、永年の夢であった「どこでもドア」を開発することに成功した!と、思ったのですが。

違いました……三菱重工が「どこでもドア(R)」を開発したそうです。

名前はあってはいるんですよ、「どこでもドア」で……でも、なにか違います……

 

三菱重工の「どこでもドア」?

そう、この「どこでもドア」は瞬間移動できるわけではなく、駅のホームから線路に転落しないよう仕切りを設ける「ホームドア」のことです。

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駅での人身事故防止のために設置が進められているホームドアですが、現在、東京の各路線は他社の路線と相互直通運転するために様々なドア車が運用・運行されていて、ドアの位置が完全には合わないようになっています。

今回、三菱重工グループの三菱重工交通機器エンジニアリングが開発した「どこでもドア(R)」は、そうした扉の数や扉の位置が異なる列車でも正確に対応できるというホームドアなのです。

そこで「どこでもドア」と名付けられたわけです。

 

どこでも開くから「どこでもドア」

この「どこでもドア」は、国土交通省の鉄道技術開発費補助金を活用して開発したものです。

ドア部分を広くしつつ、二段階に伸縮するドアや支柱の組み合わせにより、到着した電車の扉の位置に合わせて板が左右に動いて出入り口をつくる。

2扉、3扉、4扉と様々なタイプの車両が運行している路線でも対応できます。

ドア数や位置の違う車両にも、また停車位置のズレにも対応します。

過去に製品化したものは板が厚く、ホームが狭くなるのが弱点でした。

今回は扉を軽量化したほか据え付け期間を短縮化でき、設置から運用までのトータルコストを削減。

板の強度を高めてドアの厚みをできるだけ薄くし、実用化に近づけました。

扉に2段伸縮の入れ子方式を採用し、戸袋幅を限界まで縮めると同時に、開閉幅を広げた戸袋付ドアもラインアップ。

戸袋なしの支柱タイプと組み合わせることで、より大きい停車位置のずれに対応できる。

模擬の車両も設置し、来年3月末まで1年間の予定で、ホームドア普及促進に向けたさまざまな課題を検証するとのこと、そして、2016年度には実際に駅への設置をめざすとしています。

 

名前はともかく、実用性に期待

三菱重工交通機器エンジニアリングは、すでに「どこでもドア(R)」の商標を取得しています。

この「どこでもドア(R)」に対しては革新性を高く評価する声も多く、名前とは関係なく製品そのものに大いな期待が寄せられているといっていいでしょう。

少々名前が紛らわしいのは置いておいても、この「どこでもドア(R)」は今後の鉄道業界において重要なものとなりそうです。

 

今、抱えている問題点を解消するために

他の鉄道各社も手をこまねいているわけではありません。

可動式ホーム柵の利点を生かしつつ、さらに、扉の数が異なる車両に対応するための工夫を取り入れて、開発メーカーとともに今なお模索が続けられています。

現在も新たな技術やアイディアを採り入れた新しいタイプのホームドアの研究・開発が進められ、様々な改良・試験が行われています。

そして今、すべての駅へのホームドア導入をめざしそれら新型ホームドアは機能確認や問題点の洗い出しなどを目的に、すでに実証・検証試験が実際の営業運転の場で行われる段階に入っています。

それら、各メーカーのホームドアを見ていきましょう。

 

主要なホームドアのメーカー企業とその設置事例

ホームドアの設置には、各線の乗り入れが複雑化するなかで車両扉位置の相違など技術的な課題が残るほか、膨大な整備コスト(1駅あたり数億円から10数億円)や各自治体の支援の問題もありますが、「今後は設置ペースが早まる可能性があり、関連企業にとってはビジネス機会の拡大につながる」として注目されています。

 

◎京三製作所

京三製作所は神奈川県横浜市にある信号機メーカーです。2000年夏に東急目黒線で運用を開始して以来、約5000開口の納入実績を持っています。

現在では日本におけるホームドア開発でトップシェアを持っています。

2010年度には東京メトロ有楽町線の全駅のホームに設置し、ホーム柵1760ドア分と、車両、ホームの間が広く開いている個所で使う可動ステップ67台の設備の製造から施工までを取りまとめました。

そのほか、東京メトロにおいては丸ノ内線の全駅にも導入されています。

 

◎ナブテスコ

ナブテスコは、床面から天井までの高さのホームドア「スクリーンドア」に強みを持ち、国内シェアは約95%を誇っています。

西日本における各種高速交通や東京メトロ南北線で導入されています。

 

◎高見沢サイバネティックス

高見沢サイバネティックスは、日本の駅務機器メーカーの一つです。券売機、自動販売機、印刷機、自動機向け貨幣処理装置などを製造しています。

それに加えホームドアの開発も行っており、新しいタイプのものとしてはドア位置の違いや低コスト化などへの対応する「昇降バー」式­のホームドアを開発、実用化に向けて相鉄いずみ野線の弥生台駅で試験を行いました。

 

◎日本信号

日本信号は信号機・自動改札機等の製造を行なうメーカーです。信号機メーカーとしては日本国内トップのシェアを誇ります。

新型ホームドアの開発も行っており、従来のホームドア部分を「ロープ」式にしたものを昨年から東急田園都市線つきみ野駅で現地試験を実施しました。

これも、安全性と停車位置のずれへの適応力を高めるとともに、扉の軽量化・工事期間の短縮などにより、設置から運用にわたるコストの削減を目的としたものです。

 

新しいホームドアの開発で、設置が難しかった路線や駅などへのホームドアの導入が進む

国土交通省によると、全国の鉄道やモノレールなどの駅約9,500ヵ所のうち、ホームドアを設置しているのは2014年9月末時点で593ヵ所にとどまっています。

同省では本年2月に閣議決定した「交通政策基本計画」で、東京五輪・パラリンピックが開催される2020年度までに、ホームドアの設置駅を約800ヵ所に増やす方針を打ち出しており、このために低コストのホームドア開発などを支援していくとしています。

新しいタイプのホームドアの開発が進むことで、これまで導入条件を阻む障壁があって設置が難しかった路線や駅などへのホームドア導入が進み、同時に利用者の安全がより高められるという期待も膨らみます。

 

※希望日本研究所 第8研究室

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