2015.04.20 動物

里山に迫る獣害、あなたは知ってましたか?その被害額は200億円!

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今「里山」に獣害の被害が広がっていることを知っていますか

美しい日本の里山、郷愁の里山、兎追いしかの山・・・

私たちの住む都市と、山林(奥山)などの自然との中間にあるところ。

そこは、農地やため池、草原などの地域です。

ここでは、農業や林業などで働く、さまざま人たちによって環境が維持されてきました。

そして、野生の動物や様々な生き物の生息の場所です。

私たち人間にとっても、食料や木材などの供給の場所。

美しい景観、町や集落の独特の文化の発祥の起源にもなっている重要な地域です。

それが、「里山」なのです。

里山

 

獣害の被害が広がる「里山」

里山は生き物たちが命を育む場所なのです。

当然、人間も自然の一部です、里山が与えてくれる自然が私たち人間の命を支えてくれています。

しかし、現在、里山の多くは人口の減少や高齢化の進行で大きく変わってきてしまっています。

産業構造の変化で、大きな環境変化を受け、里山における生物の多様性が失われて、生態系の変化で自然界が本来持つバランスが崩れてきています。

 

「里山」の変化と獣害の被害拡大

では、里山はどう変わってしまったのでしょうか?

戦後、日本は高度成長の時代を迎えましたが、それ以前は、集落周辺では山の中腹まで高地として利用していました。

そこは、段々畑として野菜や果樹を植えたり、または棚田として耕作されていて、人間によって管理されている空間でした。

また、里山の雑木林は薪炭の採取地として、人間が出入りするため、野生の動物が接近しにくい環境でした。

ところが、高度成長時代になり社会や経済の環境が大きく変化して、農業従事者が減り、また高齢化も加わって里山が放置される状況が出てきました。

これまで農業で使用していた場所も、耕作放棄地となっていくという状況が拡大しました。

その結果、野生動物が出現してくる場所が、こうした里山や耕作放棄地に広がっていったのです。

こうした場所は餌場となったり、繁殖の場となって、ますます被害が拡大する要因になっているのです。

屋久島 シカ

 

獣害の被害の例としてはどんなものがあるのでしょうか

獣害対策のために、2015年2月に自民党の国会議員有志104人で議員連盟が立ち上がりました。

野生鳥獣の捕獲や加工に関する課題を掘り起こし、優良事例の視察などを通じて、食肉の利用拡大につながる戦略を練るためです。

会長には石破茂地方創生担当相が就任しました。

では、その石破議員の出身県である鳥取県の実情を見てみましょう。

無題

(鳥取県HPから)

獣害の被害は、鳥取県だけでも1億円を超える被害金額となっており、被害が1億円を超える都道府県は全国で37にのぼるといわれています。

なんと、全国で200億円を超える被害金額になっているのです。

 

獣害の被害を減少させるための基本的考え方と3つの対策

耕作放棄地となった場所や荒廃している里山は、野生の動物にとって、安心して農作物を食べられる場所になってしまっています。

したがって、まず耕作放棄地となった場所や荒廃している里山を、餌場にしないようにすること、そのためには簡単に集落や農地に侵入できないようにすることが重要です。

基本的な考え方としては

  • 集落や農地を野生動物の餌場にしない
  • 集落や農地を野生動物が近づきにくい環境に変える

ということが重要です。

そして、その対策としては、以下の3つのものが挙げられます

  1. 侵入を防ぐための対策を図る
  2. 個体数を減らす
  3. 周辺環境を改善する

シカ
侵入を防ぐためには、獣害被害が発生している場所に、侵入を防ぐための防止柵等を設置することです。

動物によって 行動の特性がことなるために、どの害獣を対象にするかを見極めることが大事です。

次に、個体数を減らすために、特にイノシシやシカなどの個体数が増加している動物に対しては、狩猟による捕獲が有効です。

さらに、周辺環境の改善には、野生動物の隠れ場や餌場にならないように、見通しの良い空間づくりが大切となってきます。

 

捕獲したシカやイノシシの肉をジビエで活用する

個体数を減らすための方法として、地域資源として積極的に活用していく方法があります。

現在、捕獲された鳥獣のうちのほとんどが捕獲現場での埋設処理、またゴミ焼却場での焼却処理をされているのが実態です。

食肉利用されている割合は、1割にも満たないのです。

農作物を食い荒らし、厄介者の野生動物も、食肉や加工品などに活用できれば貴重な資源に変わります。

付加価値(ブランド)を付けて販売すれば、地域の収入源になるのです。

 

獣害をプラスの発想で地方創生へ取り入れる

日本には1700余りの市町村があります。

その中には、人口370万人を超える横浜市のような大都市がある一方で、人口数千人という小さな自治体も数多くあります。

また、それぞれの自治体で抱える課題も様々ですが、獣害によって農業を萎えさせているという自治体も数多くあります。

島根県の海士町は、政府の地方創生本部でも成功例として取り上げられました。

ここでは、町が率先して、特産の海産物の販路を開拓し、加工場などを整備し、また肉牛のブランド化に取り組み、新たな雇用を生み出しています。

それによって、町に移り住む若者も増えているのです。

小さな自治体でも、地元の特性を生かして知恵を絞れば、 地域を活性化できるという可能性を示す例です。

農業に多大な被害を与えてる害獣ですが、発想を変えれば、獣害の原因となってなる、シカやイノシシをジビエ(野生の鳥獣肉)として活用していく方法もあるのです。

それが、野生動物の命を活かすジビエのブランド化です。

現在、実際に取り組んでいる事例もあります。

捕獲された野生動物の解体や、加工・貯蔵・流通・販売などはどうするか、多くの課題がありますが、海士町のように政策として自治体が応援していく方法もあるのです。

ジビエ

同じような取り組みを、日本全国で取り組んでいけるようにしていきたいものです。

 

※ 希望日本研究所 第2研究室

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