2016.05.05 主権者教育

シティズンシップ教育がつくる新しい社会、イギリス

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なぜシティズンシップ教育が必要なのか?

選挙は民主主義の根幹をなすもので、国民が政治に参加する最大の機会です。

私たちの国家は「代表民主主義国家」であり、選挙によって選ばれた代表によって政治が行われ選出された代表者により、私たちの意見や要望は国や地方の政治に反映されます。

 しかし、あくまでも主権は私たち、国民にあります。

つまり主権者である国民の一人ひとりは、政治や選挙に関心を持つべきで、選挙制度そのものや候補者・政権・政策を正確に理解し、「大切な自分の一票を進んで投票する」ことが必要になります。

しかしながら、日本において投票率は下記のグラフを見てもわかるように年々下がり、深刻な状況です。

特に20代の投票率の低下は深刻なので、若い世代への選挙啓発を推進し、投票率の向上を図っていかなければなりません。

出典元「衆議院議員総選挙年代別投票率の推移」公益財団法人 明るい選挙推進協会

出典元「衆議院議員総選挙年代別投票率の推移」公益財団法人 明るい選挙推進協会

それでは、若い世代が主権者としての自覚を持つには、その自覚を育てるにはどうしたらいいのでしょうか?

まず若者世代が自分達が「市民だ」ということを認識させることが重要で、これはシティズンシップ教育を実施することで実現できます。

「市民」であるという認識は、シティズンシップ教育の基礎、ひいては民主主義の基盤となります。

小中高の教育課程で「シティズンシップ教育」を実施することが、とても有効となります。

(参考記事:シチズンシップ教育は民主主義の基本!話し合いスキルを身につけさせるフランス

この記事ではイギリスのシティズンシップ教育の現場を事例として紹介し、記事を通して「シティズンシップ教育」に対する理解を深めてもらうことを目的としています。

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民主主義への理解を深める民主的教育

若い世代が「市民である」ということを認識させることが「シティズンシップ教育」やひいては「民主主義」の基盤となります。

「市民である」ことを認識するには民主主義への理解を深め、「民主主義の社会に属することの責任や市民としての権利と責任」について理解しなければなりません。

また年を重ねるにつれこれらがどのように変化するかについて、法律と司法制度について検証し、それが自分たちの権利と責任にどう 関係しているのかも考えられるようにならなければなりません。

民主主義を理解する「民主的教育」とは「多数決で物事を決めていくこと」と思う人が多いかもしれませんが、教師と生徒を含め「1人ひとりの声が尊重されるかたちの教育実践や教育風土」こそが、「民主的教育」です。

これは教師からの権威主義的な教育の反対方向にある教育です。

生徒の声を教育実践に反映させる、日々の学校生活において様々な意思決定を生徒自身がするなど、生徒の主体性を重要視します。

イギリスにおけるシティズンシップ教育の現場

民主的な教育の実践において、一番の課題となるのはその実践が「学校内においてどれだけ学校全体のものか」「風土となれるか」かどうかです。

学校の中で平等や民主主義を説きながら実際に教員内の差別があったり、お茶入れやコピーをとるのがいつも女性職員では「風土」は育ちません。

つまり「ホンモノ度」が問われます。

1998年イギリスのシティズンシップ諮問委員会は英国における教育現場を厳密に調査し、報告書*『シティズンシップ教育と学校における民主主義の教授』を発表しました。

そしてシティズンシップ教育に対して政府がどのようにアプローチすべきかなども提言しました。

この報告書を受けイギリスでは、2002年より中等教育(12~ 16 歳の生徒)では「シティズンシップ」という教科が必修化されました。

* この報告書は、諮問委員会の議長バーナード・クリック(政治教育や市民教育の必要性を説いてきたイギリスを代表する政治学者)にちなみ「クリック・レポート」と呼ばれています。

能動的な国民を育てる教育:イギリスの中学校・高校

報告書「クリック・レポート」には、「開かれた十分な議論は 健全な民主主義にとって不可欠である」という名言があります。

名言に沿ってイギリスでは民主的教育の大切な要素として下記項目をあげました。

  • 偏見や固定観念を見抜く
  • 議論する
  • 交渉する
  • 団体としての決定をしていく過程を体験する

こうしたスキルや経験は子供の自己確立や潜在能力の開発などの成長課程で必要不可欠と位置付けています。

例えば、イギリスのブリストルにある中高一貫校では、教員と生徒の関係は「上下」ではなく、ともに学校を良くしていくためのパートナーとして実践しています。

教員の雇用にも生徒会の生徒の意見が採用され、生徒会予算は学生たちにとって一番有効な使い道を会で決めています。

また生徒たちは、学校給食の配給会社の政治的汚職を発見し、学校に違う会社との契約を求めそれを実現させました。

このように学校全体で教員と生徒が一体となって民主的教育を実践している学校は、1人ひとりが尊重され、他者の考え方を理解し、理性的に考え、自分自身で判断し行動する力を養うことができるようになります。

 

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シティズンシップ教育の重要性とまとめ

「シティズンシップ教育」とは、社会の一員としての「市民性」を育成するために行われる教育です。

社会に参加し、自ら考え、自ら判断する自立した主権者になることを目指します。

日本の小中高の教育課程において、必修教科として「シティズンシップ教育」を組み込むべきです。

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