2016.04.14 メディア

報道の自由は?偏向報道と政治の介入の問題を整理解説してみた

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テレビ番組には法律で偏向報道に対する規制が、実は放送法上は電波停止も可能!?その時報道の自由は?

テレビ朝日の「報道ステーション」やTBSの「NEWS23」によるニュースが偏っている、偏向報道だといわれ、それぞれのキャスターが交代した、などと話題になっています。

高市早苗総務大臣は、放送局の電波停止を示唆する発言までしています。

これに対し政治の介入で報道の自由を侵すものだ、という指摘も出ている。

偏向報道、放送法、政治の介入、報道の自由といった言葉だけが独り歩きをし、実態が良くわからない面があります。

ここではテレビ番組における政治報道、それに対する政治の介入、と指摘もある最近の状況を整理し、報道の自由との関係など、わかりやすく解説してみました。

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放送法によりテレビ番組は政治的中立が求められ偏向報道が規制される、しかし報道の自由は?

さきごろの安保法案に対し、テレビ朝日の「報道ステーション」や、TBSの「NEWS23」の各キャスター・コメンテーターが反対論を鮮明に出しました。

「報道ステーション」では元経済産業省のキャリア官僚だった古賀茂明氏が出演、安倍政権批判を繰り返しました。

こうした番組での報道は偏っている、偏向報道だ、公平さに欠ける、との指摘を受けたのです。

テレビの監督官庁である総務省の武市早苗大臣が電波停止を命じる可能性にまで触れました。

これは一見すると報道の自由を侵すような発言にも見えます。

ところがテレビは放送法により政治的に公平であることが求められている。

安保法に関して言えば、反対論だけでなく、賛成論も同じ程度に報道する必要があるのです。

この理由としてテレビは、国民の財産である放送波という電波を独占している。
その利権を持つ代わりに、公平性と正確性が求められている、というわけです。

法律違反をすれば、電波利用の停止命令を出せる。
放送事業の免許権限を持つ総務省は、究極的にはテレビ局から免許権限を剥奪することもできるのです。

ただし、こうした報道規制はテレビだけの話。
新聞報道にはこうした規制はありません。

時の政権に対する反対論や、独自のイデオロギーを展開することは自由。
事実、各新聞は保守、リベラルといった立場を明確に出しているといわれます。

新聞をはじめとしたペーパーメディアには報道の自由がある。
ところがテレビの報道だけには規制があるのです。

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テレビの自主規制を担保する組織にBPOがある

テレビ報道には放送法により規制がある。

とはいっても報道の自由の精神もあり、この一見すると矛盾したような状況の中で、テレビ局の放送内容はこれまで自主規制に任されてきたといわれます。

自主規制を具体的に担保・保障するところとして有名なのがBPO(放送倫理・番組向上機構)という組織です。

NHKや民放テレビ局などの出資により設けられたBPOは一応、第三者機関。
放送における言論・表現の自由の確保を大前提としながらも、視聴者の基本的人権を擁護するため、放送への苦情や放送倫理の問題に対応する組織です。

視聴者などからの苦情や問題があると指摘された番組・放送を検証、その結果を一般に公表しています。

NHK「クローズアップ現代」の2014年番組に「放送倫理上重大な問題があった」。
NHK「クローズアップ現代」で「出家サギ」を報じる番組に対しBPOは放送倫理違反を指摘、再発防止勧告を出した。番組で出家をあっせんするブローカーと紹介された男性の報道に誤りがあった、というのです。

TBS情報番組「アッコにおまかせ」の放送にも人権侵害があった。
情報番組「アッコにおまかせ」に対してもBPOは勧告を出した。2014年3月9日に放送された「佐村河内守氏の謝罪会見」で、佐村河内氏の名誉を毀損する人権侵害があったと認めたのです。

このように自主規制を担保するBPOがこれまで再発防止勧告などを行ってきました。

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テレビの偏向報道に対しては行政指導にとどまっていた

ところがBPOは主に人権問題のみを扱う。

政治的中立・公平に関しては、そもそも放送法があるので、テレビ局が自主的に行うものであるという考え方をしてきた。

それでも放送法を逸脱し、偏向報道をやってしまった。
そういうことも起こりえます。

これに対しては行政指導が行われてきました。
総務省が「政治的公平性」を求め、厳重注意をしてきたのです。

ただし先に示した電波利用の停止命令や免許権限の剥奪といった、強権的な行政処分は行われなかった。

ところがここにきて、行政処分の可能性を示唆する発言が政治サイドから出てきた。
また偏向報道を是正するためBPO以外の第三者機関が必要ではないか、といった意見も浮上しているのです。

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テレビの報道の自由に対する専門見解も分かれる

報道の自由があると言われるメディアの中では唯一、放送法により規制のあるテレビ。

確かに偏向報道と言われても仕方がない部分もありそうですが、やはり原点的に報道の自由がある、という言い分もある。

実は専門家の見解も分かれるのです。

・放送法より上位にある憲法21条が規定している表現の自由(報道の自由)があるので、そもそも放送法には問題がある。

・いや規制のある報道(テレビ)と、規制のない報道(新聞など)の両方があることが、憲法の精神から見ても合理的である。

このように専門家の報道の自由に対する考え方は分かれているのです。

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まとめ

テレビによる報道は新聞などと異なり放送法により政治的に公平であることが求められています。
報道規制がしっかりと存在する。

法律違反をすると、究極的には、放送事業の免許権限を持つ総務省から免許権限を剥奪できることにまでなっている。

放送法がある以上、テレビ局による偏った放送、偏向報道は許されない。

この対応、法律の順守に対してはテレビ局による自主規制が行われてきた。

それでも守られなかった放送に対しては、監督官庁である総務省が行政指導を行ってきました。

ところがここで改めて政治的に偏った放送、偏向報道、に対する批判が浮上。

政治サイドからの強い発言などに対し、逆に、政治の介入だ、という批判も出てきています。

放送法の規定を知らずに(あるいは知っていて?)、政治介入だ、いや報道の自由だ、という言葉ばかりの議論が行われているような気がします。

ただし報道の自由を定めた憲法と放送法の関係については専門家の見解も分かれている。
放送法の規制はあっていい、いややはり報道の自由がある―。

WEBメディアの台頭もあり、テレビだけではなく新聞もふくめ、日本の既存メディアに対する批判が高まり、その存在が問われています。

テレビの偏向報道問題はその中のひとつ。

まさに偏った情報ではなく多方面の情報を踏まえたうえで、国民の冷静な判断が求められています。

テレビの偏向報道について、あなたはどうお考えになりますか?

※希望日本研究所 第6研究室

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