2016.04.06 テクノロジー

国産初のステルス実証機「X-2」が初公開、いよいよテスト飛行へ!

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国産初となるステルス実証機(先進技術実証機)「X-2」が公開

2016年1月28日、初の国産ステルス戦闘機の実証機が小牧南工場(愛知県豊山町)で公開されました。

これまでは、先進技術実証機 (ATD-X) と呼ばれており、通称「心神」とも呼ばれていましたが、今回、その型式を「X-2」とすることが明らかになりました。

この「X-2」は、国産初のステルス性能を持つ戦闘機開発に向け、三菱重工業などが研究・試作している先進技術実証用のテスト機です。

今後、実証機のテストで収­集したデータを基に、航空自衛隊­F2戦闘機の後継機の開発を進めていくことになります。

三菱重工・小牧南工場は、かつて、日本が世界に誇る戦闘機「零式艦上戦闘機」を生み出したことで名高い工場です。

今まで悲願となっていた、純国産戦闘機の開発成功に期待が持たれています。

今回は、この国産初のステルス戦闘機「X-2」について、詳しく見ていきます。

 

先進技術(ステルス)実証機「X-2」の性能は

機体は全長14.2メートル、全幅9.1メートル、全高4.5メートルで、通常の戦闘­機より一回り小ぶりになっています。

現状では、武器は搭載していません。

機体は三菱重工業が製造し、緊急加速用の「アフターバーナー(推力増加装置)」を備えた国産初のジェットエンジンはIHI(旧:石川島播磨重工業)が製造します。

小型で高出力なエンジンを搭載し、さらに、ジェット噴流の向きを変える装置を使って高い機動性を生み出しています。

機体には、炭素繊維(カーボン)の電波吸収材を採用し、レーダーに探知されにくいステルス性能を備え、軽量化を図っています。

コックピット後方にあるエンジンの排気ダクトもステルス形状となっており、わざとギザギザの形状にして、レーダーを真っ直ぐ反射させないようにしています。

また、ジェットエンジンのノズルには、エンジンの推力の方向を曲げるための「推力偏向パドル」を採用。

他にこのようなパドルをつけている例として、アメリカ空軍のステルス戦闘機「F-22ラプター」があります。

さらに特徴的なものとして、通常、ステルス機はレーダー波がコックピット内に入って乱反射しないよう、キャノピーに色のついたコーティング剤を塗っていますが、X-2は透明なものとなっており、高い視認性を確保しています。

 

現代の最新兵器にほぼ導入されている「ステルス技術」とは

「ステルス」とはもともと英語で、本来の意味は「隠れる」ことを意味しています。

そこから、戦闘機、軍艦、戦車等の兵器がレーダー等から探知されにくくする軍事技術や、その技術を取り入れて開発された兵器、そういったものを総称して「ステルス」と呼びます。

「ある兵器がレーダーなどのセンサーからどの程度探知され難いか」という「ステルス性」を実現するための軍事技術が「ステルス技術」であり、具体的には、電波を反射したり、音響的に探知されにくくしたり、また、視覚的にも発見を防いだりする技術のことを指しています。

レーダーやソナーが発達した近代においては、非常に重要な技術であり、最新の兵器は多かれ少なかれ、ステルスを意識して設計されています。

「X-2」のようなステルス戦闘機の場合は、敵から発見されにくくするため、レーダー波の反射を妨げる機体デザイン、レーダー波を吸収する素材、ジェットエンジンの高温の排気を軽減する仕組みなどを組み合わせた「ステルス技術」を取り入れています。

ただし、あまりにステルス性だけを追求するあまり、戦闘機として本来求められる高い機動性や攻撃力を犠牲にするようなことでは本末転倒です。

したがって、矛盾するいくつもの技術的な課題をクリアするため、多額の開発資金が必要になるのです。

2016年現在、ステルス機の実用化に成功しているのはアメリカだけで、すでに「Fー117(ナイトホーク)」「F-22(ラプター)」を実戦配備しています。

 

なぜ、国産ステルス戦闘機を開発するのか

防衛省が開発を進めている「X-2」は、機体だけでなくジェットエンジンも国産化しています。

こうした、純国産の戦闘機は戦後初で、性能評価テストの結果を基に、レーダーや熱センサーに捉えられにくいステルス性能を持つ超音速戦闘機の国産化を目指しています。

航空自衛隊では戦後、アメリカ製の機体を主力戦闘機として導入してきました。

航空自衛隊の次期主力戦闘機も、米ロッキード・マーチン社製のステルス機「F35(ライトニングⅡ)」を購入し配備する予定です。

では、なぜ、今ステルス戦闘機の純国産化を目指しているのでしょう。

そもそも、ステルス戦闘機の開発には数兆円もの多額のお金がかかるとされています。

したがって、他国との共同開発を図りたいところですが、日本が高度な技術を持っていなければ情報公開されず、相手国の言いなりになり、思うように運用ができなくなる可能性があります。

実際、アメリカ軍の最新鋭ステルス戦闘機「F-22」を導入したいとの意向をアメリカ政府に働きかけてきました。

しかし、「F-22」は機体の機密情報漏洩のリスクを恐れたアメリカ政府の思惑から、次世代機として導入することができませんでした。

その代わりとして採用が決まった「F-35」戦闘機も、開発の遅れによりいまだ配備のメドが立っていないという状況です。

そういった状況の中、ロシアではスホーイ社が中心に「T-50」ステルス戦闘機の実戦配備が目前となり、中国では「J-20」や「Jー31」といったステルス機が開発、研究されてます。

このように、次世代機はステルス機が主役になることは間違いないでしょう。

したがって、世界に後れを取らないためにも、日本としては実際にステルス機の開発をすることが急務だったのです。

 

期待される純国産のステルス機、初飛行は3月7日以降に、今後に注目!

続く2月24日、「X-2」実証機は、名古屋空港で地上滑走試験を行いました。

約500メートルを時速約100キロで滑走することに成功し、視察した中谷防衛大臣や防衛省幹部も、開発に手ごたえを感じたようです。

数回の滑走実験を経た後、3月からは実際に飛行試験を繰り返し、レーダーへの映りにくさやエンジン性能、機体の機動性などを確認する予定となっています。

注目される初飛行は、3月7日の週以降になる見込みです。

また、同じ日に、国産初のジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」の飛行試験が名古屋空港で行われており、2機が滑走路上で並ぶ場面もあったようです。

今後のテスト結果を検証し、次世代主力戦闘機を純国産で開発するか、国際共同開­発にするかなどを判断するとしています。

開発に莫大な経費がかかることを考慮すると、他国、とくにアメリカとの共同開発が望ましいのですが、ステルス技術は非常に軍事的な価値が高く、アメリカ軍でも最高の軍事機密の一つ­になっています。

したがって、なかなか情報公開されず、開発の際には相手の言うがままにされる恐れがあります。

しかし、日本が独自に最新のステルス技術を手に入れることができれば、共同開発で優位に立て­る可能性もでてきます。

また、過去にはアメリカ政府の政治的思惑から次世代戦闘機として「Fー22」を導入することできず、結果的に、「Fー35」の導入に落ち着いたという経緯もあります。

自衛隊の主力戦闘機の機種選定が、他国の政治や思惑に左右されるのは、国防や安全保障の戦略を組み立てる上で好ましいものではありません。

次世代主力機が純国産を採用するのか、それとも共同開発の道を模索するのか、いずれにしても、国産の「ステルス技術」開発は重要となってきます。

今後も、国産初のステルス機「X-2」開発の成功を期待しつつ、興味深く見守りたいところです。

 

※ 希望日本研究所 第8研究室

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