2016.03.07 有識者講演動画

田中英道先生「日本美術・仏像の歴史」の解説!2000年、民族の継続性を有する稀有な国、日本。その文化の世界的価値・前編』【動画】

7
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

縄文人から続く美意識、日本美術・仏像の歴史について田中英道先生が解説!『自然と共生し、自然の中にある尊い御霊を抽象化したものが芸術のはじまり。』

「2000年、民族の継続性を有する」稀有な国、日本。

この国は、古代より温帯の緑豊かな気候と豊富な水源と食物に支えられてきました。

自然と共生し、自然と自然の中にある尊い御霊を抽象化したものが芸術のはじまり。

仏教伝来後には、様々な「ほとけ*」(「ほと」=仏陀、「け」=形)が作られていきました*。

(*参考記事:知らないと損する仏像の歴史!)

日本の風土から人の暮らしに根差した文化について、とても素晴らしいお話をいただきました。

14

※ このページから直接動画をご覧頂けます。また、下部にはまとめもございます。

 

田中英道 日本の美術史家 東北大学名誉教授 プロフィール

【経歴】
1964年 東京大学文学部仏文科卒業。
1966年 同美術史学科卒業、ストラスブール大学に留学。
1969年 「ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの作品」で博士号取得。
1970年 国立西洋美術館研究員。

1973年 東北大学文学部講師。
1992年 東北大学文学部教授。
1996年 「ミケランジェロ・システィナ礼拝堂天上画の研究」で東北大博士(文学)。

この間、ローマ大学とボローニャ大学にて客員教授、ベルリン大学招聘教授を務める。
2006年 東北大を定年退官し名誉教授となり、国際教養大学特任教授に就任。
酒田市より阿部次郎文化賞を受賞。

【主な著書】

  • 『日本の宗教 本当は何がすごいのか』育鵬社、2014年11月
  • 『日本史 5つの法則』育鵬社、2015年12月
  • 『日本人が知らない日本の道徳』ビジネス社、2016年2月

などがあります。

田中英道先生が解説する「日本美術・仏像の歴史」以下よりあらすじをテキストでもお読み頂けます。

みなさん、こんにちは。

クールジャパンや日本のお寿司は日本ブームとして世界中に展開しています。

こうした新しい日本のジャポニズム*が若い人たちに受けていますが、日本の良さは「伝統と文化」というものにあると思います。

(*参考記事:【世界文化遺産】絹の道を越え、古の文化交流の宝が日本にもある!)

11世紀の鳥獣戯画や北斎の浮世絵などが長い伝統としてあった上で、今の日本のアニメや漫画があります。和食についても同じです。

今日は「日本美術の世界的価値」についてお話しします。

縄文人は美意識と自然を抽象化する能力がすでにあった

「クールジャパン」は日本の長い伝統によって作られ、海外の人たちを魅了しています。

しかしその昔から、大陸とは違う日本の文化*は海外の人たちに注目されていました。*

(*参考記事:【モンゴル帝国】マルコ・ポーロの「ジパング」黄金伝説)

日本と違い、地続きの大陸の文明は、文化や宗教の違う異民族が移動し、戦い合う文化でした。時代によって断絶され民族も含め、継続性のない文化です。

日本は海に守られ、山が多く川や森に恵まれ、穏やかな温帯気候で過ごしやすく、緑や水が豊かだったので食料が十分に手に入るので安住することができました。

縄文の土器は日本では1万6500年前から作られ始め、世界で一番早い土器が日本だとも言われています。

大陸は常に攻撃する可能性があったのでより良い生活を求め移動しました。

反対に日本は平和で豊かだったので移動する必要がなく、鍋・釜を作り、所有しながら定住できました。

深鉢形土器(火焔土器) 縄文中期 新潟県長岡市関原町馬高遺跡出土

深鉢形土器(火焔土器) 縄文中期 新潟県長岡市関原町馬高遺跡出土

縄文人は自然の動きを捉え、自然を抽象化する能力がありました。

土器の表面には縄のあとをつけ、複雑な模様やデザイン性のある形は水や火の動きを表現しているように見えます。

なぜ「縄」のあとをつけたのでしょうか。

「縄」はしめ縄や人やものを縛ったりできる文明の利器で、縄文人は不思議なものを感じたのでしょう。

縄文人は自然の動きを捉え、自然を抽象化する能力があったのです。

日本人は美をつくる優れた環境と基盤がありました。

文豪の夏目漱石は「日本の視覚的な美術は世界的ではないのか」と言いました。

日本人の文字文化は遅かったのですが、「形」をつくるほうが早かったのです。

「縄文のヴィーナス」を見ると、女性のフォルムを単純化し美しいものを作ろうとする意思、つまり美的意識が働いていることがわかります。

日本の文化は初めから「美」をつくっていたのです。

縄文のビーナスと呼ばれる長野県棚畑遺跡出土の土偶、国宝。(茅野市尖石縄文考古館にて) Date: 8 October 2012 Author: Takuma-sa

縄文のビーナスと呼ばれる長野県棚畑遺跡出土の土偶、国宝。(茅野市尖石縄文考古館にて)
Date: 8 October 2012 Author: Takuma-sa

神社仏閣が共存できる日本の仏像や神の精神性

日本は世界にも珍しい、城壁がない文化です。

大陸では都市の周りに高い城壁などつくり、敵の攻撃から守りましたが、奈良にも京都にも町を囲う城壁がない。

古代から日本は共同宗教の神道を重んじてきました。

6世紀、仏教が百済からやってきた仏教伝来後には、様々な「ほとけ」(「ほと」=仏陀、「け」=形)が作られていきまし­た。

仏像が初めて日本に入ってきました。

神道はみんなで思う共同宗教で、仏教は個人を取り入れた個人宗教です。

日本は共同宗教の上に個人宗教が成り立つ不思議な精神文化ができました。

天平時代の阿修羅象の表情*は子供のようにあどけない。

(*参考記事:【誇るべき日本の天平文化、シルクロードと仏教美術】)

共同体精神を持つ公やけの精神が仏教美術に現れています。

日本の仏師(仏像を造る人)が造る仏像は深いものができる。

仏師は、ただ仏像を彫るのみにあらず、仏教を学び、人間を考察して心理学を探究しました。

鑑真や奈良時代の仏像に関する話が続きます。

後編へ(乞うご期待!)

 

希望日本研究所 第7研究室

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

有識者講演動画関連記事

有識者講演動画関連記事をすべて見る