2016.03.11 有識者講演動画

後編!田中英道先生「日本美術」の解説『2000年、民族の継続性を有する稀有な国、日本。その文化の世界的価値・後編』【動画】

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日本の美意識、独自性や発想の違いは言語にもでている

前編では、縄文時代から日本人はすでに、自然や美を「抽象化する能力」を持ち、自然と共生し、自然と自然の中にある尊い御霊を抽象化したものが芸術のはじまり、仏教伝来、仏教美術、天平文化のお話しをしました。

(*参考記事:知らないと損する仏像の歴史!)

後編は日本の歴史を言語や文化遺産で読み解いていきます。

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※ このページから直接動画をご覧頂けます。また下部には、まとめもございます。

田中英道 日本の美術史家 東北大学名誉教授 プロフィール

【経歴】
1964年 東京大学文学部仏文科卒業。
1966年 同美術史学科卒業、ストラスブール大学に留学。
1969年 「ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの作品」で博士号取得。
1992年 東北大学文学部教授。
1996年 「ミケランジェロ・システィナ礼拝堂天上画の研究」で東北大博士(文学)。この間、ローマ大学とボローニャ大学にて客員教授、ベルリン大学招聘教授を務める。
2006年 東北大を定年退官し名誉教授となり、国際教養大学特任教授に就任。酒田市より阿部次郎文化賞を受賞。

【主な著書】

  • 『日本の宗教 本当は何がすごいのか』育鵬社、2014年11月
  • 『日本史 5つの法則』育鵬社、2015年12月
  • 『日本人が知らない日本の道徳』ビジネス社、2016年2月

などがあります。

【後編】田中英道先生が解説する「日本美術・仏像の歴史」は以下よりあらすじをテキストでもお読み頂けます。

こんにちは、田中英道です。前回は仏像美術や土器に日本人の独自性が出ているお話しをしましたが、「言語構造」からもみてみましょう。

日本人は古代より「共同体として共同の意識をもてる」という文化を持ち、これは日本語の構成にも影響しました。

主語が常に明確な英語とは発想の仕方が違う日本語に「日本の独自性」がよく表れています。

共同体精神を持つ公やけの精神は仏教美術に現れています。

(*参考記事:【誇るべき日本の天平文化、シルクロードと仏教美術】)

 

共同体を重視する日本人の独自性は日本語にも影響している

この「共同体として共同の意識をもてる」という「日本の独自性」はもっと世界で評価されていいと、わたしは思います。

つまり「主語がない」や「動詞(判断用語や主張)が最後にくる」という言語構造に「共同精神や共同体を重視する」という日本人の人間像があらわれています。

「主語」の後に「動詞」がくる西欧と言葉だけ比較すると、個人主義は日本語の中にあまり出てきません。

しかしながら、そうだからといって「個人(主語)」がないわけではありません。

日本社会は共同体の中に個人が存在するのです。

鎌倉時代は武士の時代、戦う時代

「戦う感覚」は日本ではなかなか身につけられないと言われています。

本当にそうでしょうか。

鎌倉時代から武士たちが力を持つようになりました。

武力を尊ぶようになると粗野な文化になったのではないかと言われますが、日本人は昔から文化を大事にする民族で、鎌倉時代では、より彫刻や絵画が盛んになりました。

平安時代(8世紀〜12世紀)が「文学の時代」とすれば、鎌倉時代(12世紀〜14世紀)は「造形の時代」と言えるでしょう。

武力の時代でも、日本人は天皇や宮廷を敬い、大陸文化のように破壊と略奪を繰り返すのではなくモノづくりの芸術が盛んになりました。

貴族や武士の時代の前の奈良時代(8世紀)は仏教による鎮護国家を目指し、天平文化が花開いた時代でした。

(*参考記事:【世界文化遺産】絹の道を越え、古の文化交流の宝が日本にもある!)

運慶の仏像:仏教は人間の欲望、苦しみ、悩みを捨てる

仏像を見ることにより、それぞれ個人がこういう姿になりたいという願望を持つようになります。

仏像をつくる仏師は、ただ仏像を彫るのではなく、仏教を学び、人間を考察して心理学を探究しました。

運慶の肖像とされる僧形像(六波羅蜜寺)

運慶の肖像とされる僧形像(六波羅蜜寺)

武士の時代になっても、運慶(仏師)は自分の顔や姿を彫り、素晴らしい表現を成し遂げました。

近代だけが「個人」があるという考え方があるという考えは間違っていて、美術を通してみるといつの時代も共同体精神と個人があります。
芸術作品をみれば、近代以前の日本社会で、個人が十分に生かされていたことがわかります。

空也上人像は「南無阿弥陀仏」念仏を唱えれば極楽にいける姿を捉え、小さな仏像が口から出ています。

修行とはこういう姿だとあらわしています。

 

Kuya_Portrait

空也上人像 六波羅蜜寺

気品があり、抽象的な姿をとらえた絵画、源頼朝像。

自然に信仰をもち、自然を尊敬する精神があらわれている那智滝図。

 

日本人の心を呼び覚ます田中英道先生の講義は文化遺産から歴史を読み解いていきます。

 

▼▼▼前編はこちらです▼▼▼

田中英道先生「日本美術」の解説!『「2000年、民族の継続性を有する」稀有な国、日本。その文化の世界的価値・前編』【動画】

 

 

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