2016.03.07 少子高齢化

前人未到の「高齢化率30%超の社会」を垣間見る

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高齢化率30%オーバー、3人に一人が高齢者の社会とは?

日本は2035年には3人に一人が65歳以上の高齢者、高齢化率34%以上の社会になります。
これは、未だかつて人類が遭遇したことのない世界かもしれません。

高齢化率30%以上と言う世界はいったいどんな社会なのでしょうか?

 

ここではどんな社会になるのかその一端をまとめてみました。

■高齢化率30%超に向かういまの日本の実態

■高齢化率30%超の将来イメージは

■高齢化率30%超の社会問題

 

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高齢化率から知る、急激な超高齢化社会の恐ろしい実態

人口に占める65歳以上の人口の割合を高齢化率と呼んでいます。

2016年の時点では4人に一人が高齢者、高齢化率25%の社会となっています。
そして2060年には2.5人に一人が高齢者、高齢化率40%の世界に突入します。

ある意味日本は高齢化の先進国、トップランナーとして未知の世界に最初に突入していくこととなります。

また、団塊の世代(1947-1949年生まれ)と呼ばれる人口の最も多い世代が、高齢者になったのはごく最近なので高齢化は当分の間おさまることはありません。

 

秋田県の高齢化率は既に30%超

高齢化率の話題では、全国平均の25%の数字ががよく取り上げられますが、実は全国でばらつきがあります。
既にかなりの高齢化が進んでいる地域もあるのです。

 

平成25年時点で、最も高齢化が進んでいるのは秋田県で31.6%、2040年には43.8%との推計もあります。

現在既に30%を超えている県は、秋田県のほか、山口県、島根県、高知県で、今後続々と増えていくことが予想されます。

 

一方、子供の数の多い沖縄の高齢化率は18.4%、全国から若者が集まる東京、愛知、神奈川などの都市圏の高齢化率は20%前半となっています。

このように、地方都市では更なる高齢化が進行中で、大都市部は比較的高齢化が緩やかなのが実態です。

 

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世界比較でも断トツの高齢化率の日本

世界の高齢化率を比べてみると、日本のいまの高齢化率25%以上は断トツです。

2位のイタリア・3位のドイツは21%台、4位のギリシャ、5位のフィンランド、6位のスウェーデン、7位のブルガリア、8位のポルトガルはいずれも19%台です。

 

一方で、急速に高齢化している国もあります。

韓国の出生率は日本よりもさらに低く、急速に高齢化が進むとされています。

アジア諸国は一般に出生率が下がっていて、今後高齢化が進むといわれています。

 

また中国は人為的な一人っ子政策の影響が既にではじめています。

日本を急追する形で高齢化が進み、2050年には高齢化率25%になることが予想されています。

既に2010年の時点で高齢化人口が1.1億人を超えており、絶対数から言えば中国の方が問題が大きいのかもしれません。

 

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SFではない「すべてが高齢者中心」。今そこにある高齢化率30%超の社会

高齢化率30%超の社会、それはすべてが高齢者に向いた社会です。

住宅地のコンビニエンスストアの品ぞろえが目に見えて変化しています。

魚の煮つけや野菜を煮たものレトルトパック、少ない量の食品の品ぞろえの充実など。

ここではそのような変化の一端から、高齢化率30%超の社会を垣間見てみようと思います。

 

子供用のおむつより大人用のおむつの売り上げが多いという事実

既に子供用のおむつより大人用のおむつの売り上げが多いという事実を知っていますか?

業界大手のユニ・チャームのおむつの売上高は、2012年に大人用1590億円、子供用1530億円と既に逆転しています。

 

実際、首都圏でも郊外の市営バスに昼間に乗るとほとんどの乗客が70~80代くらいの老人なのに驚かされます。

 

ペットの頭数が子供の数を超えているという調査もあるので、世間は

老人>ペット>子ども

という順で数が多いことになります。

昔、高齢化の進んでいるといわれるデンマークのチボリ公園という遊園地で、老人ばかりが遊具に乗って遊んでいる姿をSFのようだと思い眺めたのですが、それが今の日本のようです。

普通に売っているものの多くは高齢者向きの商品となる社会が近づいています。

 

既に新聞やテレビは既に高齢者用のメディア

最近テレビが面白くないとよく聞きます。

しかし面白くないと言っている人をよく見ると中年と言われる年代層の人が多いようです。

実態はどうなのか、NHKが行っている生活時間帯調査で調べてみました。

するとテレビが面白くないと思うのが当然だとわかりました。

 

テレビを見ているのは高齢者

10代20代もテレビを見ない訳ではありません。

しかし実際には、高齢者は若者の3倍近くの時間をテレビを見て過ごしています。

1日は24時間、睡眠時間を8時間とすれば、起きている時間は16時間です。

ご飯を食べたりお風呂に入ったりする時間もある中で、4~6時間も高齢者はテレビを見ています。

 

私がもしテレビ局の人間なら、この人たち向きの番組を集中的に作るはずです。

民放にとって視聴率こそがテレビの影響力(=広告料)を図る指標です。

だから、一番大きなマーケットを狙うのは当然なのです。

むしろ若い層が見て面白い番組を作る必要はないのです。

そして高齢化率が3割・4割と増えて行けばこの傾向はどんどん強まるはずです。

年代 テレビの時間量
10代 1:50 2:01
20代 1:54 2:33
30代 2:03 2:43
40代 2:30 3:26
50代 3:02 4:00
60代 4:29 4:39
70代以上 5:39 5:29

人と違うこをすると仲間外れにされる傾向のある日本社会、もし若い世代でテレビを見ていると公言するといじめられる可能性さえあるかもしれません。

 

新聞を読んでいるのは引退した高齢者の男性

テレビの話をしたので、もう一つ新聞というメディアについても調べて見ました。

新聞の購読者が下の表からわかります。

 

10代は10人に一人も新聞は読んでいません。

20代も就活が無ければ同じようなものではないでしょうか?

 

一方、70代男性の8割近く、60代の7割近くが新聞を読んでいます。

新聞は引退した男性が読むものだといっても過言ではありません。

 

こちらも私が新聞社を経営していれば、高齢者男性の好む記事を載せるようにします。

実際に既に新聞の広告を見ると、健康、懐古調のグッズ販売ばかりです。

年代 新聞の行為者率
10代 7% 4%
20代 13% 15%
30代 23% 24%
40代 41% 40%
50代 49% 45%
60代 68% 66%
70代以上 78% 57%

 

若者が新聞を読まないのは面白くないから

若者の新聞離れが社会問題のように、新聞やテレビで扱われています。

 

美味しくない食堂に客が入らないのは、客のせいではありません。

便利でない道具が売れないのは、消費者の意識が低いからではありません。

同じように、高齢者向けに作られているから、比較的若い層には面白くないから、若者は新聞は読まない(買わない・買うだけの価値を見出していない)のではないでしょうか。
そして動画などを見ていてテレビもあまり見ないのです。

 

若い層を擁護するわけではありませんが、ネットのニュースは芸能・娯楽が目立ちますが、自分から探せば世界中のニュースが提供されています。

各メディアが記者クラブ発表の同じニュースを配信しているのですから、別に大手の新聞社やテレビ局から情報を取る必要がないだけです。

 

高齢化社会ではメディアも高齢者向き

これから高齢者率40%の社会に突入します。

新聞や・テレビは、健康や医療のCM広告ばかりになるでしょう。
そして、新聞は老人の生活を守れ。年金を減らすなという論調の記事ばかりになるかもしれません。
テレビでは高齢の正義の味方が、悪役の若者倒すドラマが放映されてもおかしくはないかもしれません。

今は新聞やテレビだけですが、近い将来ネットも高齢者向き移行していくはずです。

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高齢化率30%の日本は本当の未来都市か?高齢化先進国?

暗い話題が続いたので、少しは明るい話題もあります。

アップルの研究所が横浜(綱島)に計画(2016年開業)されています。

 

なぜ日本なのか?

それは日本が一番最初に超高齢化社会になるため、その実証実験のために日本が選ばれたと言われています。

今後の超高齢化社会に日本を上手く日本が対応することができれば、そのノウハウは世界最先端のものとして、今後輸出の目玉になるのです。

 

高齢化率30%超の社会問題

ここでは、今後高齢化が進行していくと明らかになってくることを取り上げてみます。

まずは直接的問題として社会保障費と財源、介護の問題、そしてシルバー民主主義の問題などがあります。

また間接的な問題として、富の世代間格差とまちに与える影響などがあります。

 

まずは高齢者が多いことに直接的に影響されることからはじめます。

 

高齢化による社会保障費の急増と財政の問題

よく新聞などで、社会保障の伸びは年間1兆円とよく言われています。

しかし、実際には平成15年の社会保障の給付額は84兆円、平成25年は110兆円なので10年間で26兆円、実際は2.6兆円/年の割合で増えています。

一方で社会保険料収入は、ほぼ頭打ちで伸びがないため、年間2.6兆円ずつ不足していくことになります。

 

単純計算で比較出来ないものですが、消費税率1%相当が2兆円と言われているので、毎年消費税1%弱づつの財源が足りなくなってくる計算になります。

さらに悪いことに、高齢化により保険料を払う人数はどんどん減って行くのです。

 

確かに社会保障を破たんさせない方法はあります。

様々な税率を上げかつ給付を減らしていけば制度的に破たんすることはありませんが、それが現実的な解決策だとは思えません。

 

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都心部の介護地獄はこれから

高齢化社会での直接的な問題は介護の問題です。

団塊の世代が後期高齢者になる2025年、今の制度で介護士を育成しても30万人以上の介護士が不足するといわれています。

 

これは日本全体の話にすぎません。

実際に首都圏ではさらに過酷な状況が想定されます。

東京圏には3000万人~4000万人の人が集中して住んでいます。

首都圏には団塊の世代のサラリーマンが集中的に住んでいるので、介護不足の社会問題が集中的に起こることが想定されるのです。

 

一方既に高齢化進行している地域は10年後にはピークを越しているはずです。

 

現行制度では、高齢化率30%超の社会に都市部では対応できるとはとても思えません。

 

高齢化率の高まりとシルバー民主主義

最近シルバー民主主義という言葉を聞くようになりました。

この問題も高齢者率が高まることと直接的に関係している政治的な問題です。

まずはシルバー民主主義の背景となる数字をチェックします。

 

高齢者世代は若い世代の2倍以上の人口ボリュームを持っている。

日本は、第二次世界大戦の影響で、人口構成に大きなゆがみを持っています。

戦争中に多くの犠牲者を出しただけでなく、戦後に多くの人が子供を産むようになったため「団塊の世代」と呼ばれる大きなボリュームを持つ世代とその子供の世代「団塊のJr」がいます。

 

また、戦後の人口急増への対応として定められた優生保護法の影響もあり、生活レベルが上がるに連れて少子化が進むのは世界の共通した傾向です。

今では、人口維持のためには必要な一組の夫婦で2人の子供のレベルから大きく下回っていて、今後人口はどんどん減少していく傾向にあります。

 

そのため、団塊の世代を含む高齢者世代の半分程度しか人口がいない状況が生じています。

毎年生まれる新生児 約100万人
最近の新成人 約120万人
65歳になる高齢者(団塊の世代) 約250万人
現在の高齢者の世代人口 約200万人

 

若者投票率は高齢者の半分

一方投票率はどうなっているでしょう。

選挙によってばらつきはあるのですが、70代以上では8割前後、前回の選挙では全体的に投票率が低かったのですが、それでも70%弱の投票率があります。

一方で、20代は最近では多くて40%代、投票率の低かった前回の選挙では32%にまで下がっています。

 

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民主制に従うなら、シルバー民主主義は当然の結果

日本という国は、民主政という制度を採用しています。

この制度は、国民が自由選挙で選ばれた代表を通じて権限を行使する制度です。

物事を決めるにあたっては、少数派の権利充分に擁護しつつも、多数決の原則をもって物事を決めていく制度です。

 

日本の今の状況をわかりやすく数字を丸めて整理すると、高齢者は若者の2倍の人口があり、かつ投票率は若者2倍になっています。

すべての政策が若者対高齢者という構造になっているわけではありませんが、若者4倍の力を持つ高齢者に向いた政治が行われるのは仕方のないことです。

政治家は選挙に通らなければただの人になっていますので、結局は選挙に有利になるような行動しか取れないのです。

残念ですがそれが今の日本の政治の現実です。

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現在の政治の枠組みも賞味期限の可能性も

しかし一方で、現在の政治の枠組みも高齢化の波にのまれようとしています。

自民党の幹部が議員にカツを入れるために説いたものですが、「あと10年で自民党員の9割が他界する」とも言われています。

今こそ新しい政治の枠組みについて真剣に取り組む時期なのかもしれません。

 

高齢化率30%超の社会の間接的な社会問題

マンション住民の高齢化はスラム化への序章

日本人の資産のほとんどは家と預金として所有されています。

経済波及効果が大きく、家に合わせて家電や家具も消費されるので、官民そろって「夢のマイホームを手に入れよう!」というキャンペーンが長い間続けられてきました。

しかし、この唯一の資産とも言える家が、高齢化により大きな影響を受けています。

まず実態として分かりやすいマンションでは

■世帯主が60歳以上のマンションが5割以上
■世帯主が70歳以上のマンションも全体の2割程度
となっています。

 

定年後も働く人はいますが、多くはサラリーマンなので定年を迎えます。

すると収入源は少なくなり、年金と貯蓄を取り崩しながらの生活となり。

もし病気などで医療に余計なお金がかかった時、食べ物を減らすには限界があります。

そこで管理費・修繕積立金を払わないケースが非常に増えてきます。

 

マンションのような共同住宅で、管理や大規模修繕の費用が無ければ、掃除も修繕もされないのでどんどん荒れ果てていくことになります。

他に移ることのできる人は退出するので、結局はスラム化し、それと同様に売れない商品となるので資産としての価値は落ちていくことになります。

マンションを売って老人ホームなどに入れれば良いのですが
・老人ホームの需要は多くなかなか入れない
・人口は減少しているし、売り手は多いのでなかなか思った値段で売れない
・スラム化が始まっていれば既に値段がつかない
などが大きな問題としてのしかかってきます。

 

実際に管理費等の未払いは増えています。

60歳以上の世帯主が半分以上なのですから、多くのマンションはこのような危険をはらんでいることになります。

 

戸建てなら大丈夫かと言えばそんなことはありません。

戸建てもマンションのように管理を怠ればどんどん老朽化が進んでしまいます。

 

比較的築年風のたったマンション段々スラム化していく社会が、いまそこにある超高齢化社会です。

そして、物件の価値が下がっていくことは日本の経済にも大きな影響ができてきます。

 

高齢者に偏った富と世代間格差

一方で日本では世代間の貧富の差という問題もあります。

下流老人・老人の貧困化の問題が良くニュースなどで取り上げられています、

しかし一方で、全預金の70%は60歳以上の人がもっているという現実があります

 

子育てなどで一番必要な世代に金はなく、人口でも大きな割合を占める高齢者が富も握っています。

このような世代間の貧富の差が社会問題として顕在化してきます。

 

今の高齢者層が「天国にお金を持っていけるわけではない」と預金を取り崩して使ってくれれば日本の経済は回復するかもしれません。

しかし、急激な高齢化や社会保障制度に対する不安があり、「最後に頼りになるのはお金」と思い使わない心理も理解できます。

 

また、日本の老人は、海外の比べてお金を貯めたまま死んで行く傾向にあるそうです。

ラテン系の人々は、死ぬときには金は使いきっているというのが理想だそうです。

 

このままでは全預金の70%を持つ老人達が、預金をそのままにして死んでいくことになりそうです。

これを一番喜ぶのは、今の社会制度を変えたくない人々でしょう。

相続税として徴収して、破綻しかけた制度の延命に使ってしまうことが容易に想像できます。

 

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まとめ―高齢化率30%オーバーの社会とは―

ここでは、日本社会が直面する高齢化率が30%超の社会のイメージや想定される社会問題についてまとめてきました。

いずれも今すぐにでも手を付けなければならない問題ですが、残念ながら手つかずの状態です。

ベーシックインカムなど新しい社会保障のあり方や、年金の賦課式から自己積み立て式への移行な話題にはなっていますが、現行制度を抜本的に変えるような気配はありません。

また、実際には地方では、高齢化率は早々にピークアウトしていくため、より深刻な問題は首都圏で起こることが予想されます。

 

さらに長い視点で見れば、100年後には高齢化率も下がり、人口の偏りは解消されます。

ここに書いたような社会問題は解消している可能性もありますが、それは日本がこれからの高齢化率30%超の社会にどのように対応したかによるのでしょう。

 

高齢化率30%超の社会での本質的な対応とは。

高齢者が増える一方、社会保障の財源には限りがあるのは避けようもない事実です。

劇的に若い人口が増えない限り社会保障の財源を増やすことはできません。

 

また移民を受け入れることは今のヨーロッパを見て見れば、近い将来に大きな課題を残すことは明らかです。

さらに単一民族の日本にとってかなりハードルが高いのも事実です。

 

ならば、とにかく高齢者も労働力として働くしか手はありません。

肉体労働を強制するのではなく、社会の一員としてできる役割を果たすことが求められるだけです。

 

また、医療介護のあり方そのものを見直す必要があるかもしれません。

日本では寝たきり老人が社会問題になっていますが、同じように高齢化が進んでいるヨーロッパで寝たきり老人が問題になっていると聞いたことはありません。

私は専門家ではありませんが突き詰めてしまえば、自分で食事をとることができなくなった老人に対して無理な延命治療を行わないことが、人間としての尊厳を守ることだという考え方が根底にあり、その違いが医療制度に影響していると思われます。

 

また、古来から日本の社会制度に大きく影響してきた、家の制度は既にセイフティネットとして機能していませんが、自助を中心に(家族で)高齢者を介護していくのが当たり前という考え方は感情的には根付いています。

高齢化を社会全体としてどう受け止め・対応するかを抜本的に考える時期に来ているようです。

(希望日本研究所 第一研究室)

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