2016.01.20 憲法改正

憲法改正とは?憲法改正を語る上で知っておくべき3つのポイント【憲法改正基礎知識 全3回】

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『憲法守って国滅ぶ・・・』日本国や日本の国民の命よりも大切にされてきた日本国憲法

「平和主義など現行憲法の基本原則を維持することを前提に、必要な改正を行うべきだ」

安倍晋三首相は、2016年の夏の参院選で憲法改正を自民党の公約に掲げることを明言しました。それに伴い、ここ最近はテレビや新聞でも「憲法改正」について言及する特集や記事が増えてきており、ようやくこの日本でも憲法改正の兆しが見えてきています。

しかしながら、これまでの日本では憲法改正はタブー視されてきており、日本国憲法に存在する「誤植」すら直すことが許されない世の風潮が続いてきました。

そんな状況が続いたことで、コートニー・ホイットニーがわずか6日間ほどで起草したGHQ草案にほぼ沿った形で誕生してしまった日本国憲法は戦後約70年間、一度も改正されることなく、憲法を持つ188カ国の中でも、世界最古の憲法となってしまったわけです。

本来、憲法は古いことが良しとされるわけでもなく、改正されないことが素晴らしいわけではありません。憲法は国や国民を守るために存在し、時代の変化と共に改正されるべきものなのです。

世界情勢は日々刻々と変化しており、日本国憲法が定められた時代と、今の日本では全く異なる環境にあります。

こんな状況が続くようであれば『憲法守って国滅ぶ』ことにもなりかねません。

そこで今回は、我々日本人がしっかりと憲法と憲法改正について理解するべく、全3回にわけて必要な基礎知識を解説してまいります。

第1回目は、憲法改正を語る上で知っておくべき3つのポイント

・そもそも憲法とは一体何なのか?

・憲法と法律では何が違うのか?

・立憲主義とは何か?

について、解説いたします。

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そもそも憲法とは一体何なのか?→「国のかたち」であり、国民の権利・自由を守るための法規範

憲法改正云々を語る前に、まずは『そもそも憲法とは一体何なのか?』ということについて理解を深めておきましょう。

結論から申し上げますと、

『憲法とは、国家の組織や権限、統治の根本規範となる基本原理・原則を定めた法規範のこと』

です。

カンタンに言えば「国のかたち」を規定したもの。それが憲法なのです。

「国のかたち」はその国の歴史・文化をきちんと反映させたものでなくてはなりません。そして、ますます厳しさを増す国際情勢を生き抜くことができる「国のかたち」でなければなりません。
さらに「憲法」は「法律」の基礎であり、国家権力を制限して、国民の権利・自由を守るための法規範でなくてはなりません。

例えば国会で、『インターネットへの書き込みは、デマを扇動したりイジメが起きるので良くない、一切の書き込みを禁止する!』という法律をつくったとしても、これは憲法に書かれた「表現の自由」に反するため、「違憲」となります。

このように、憲法の存在が我々の自由の権利を救済してくれるわけです。憲法は権力者が権力を乱用し、間違った国としないために定められた規範であり、我々国民の側にあるものなのです。

これこそが国民に主権がある国の、民主主義のルールであり、憲法の大原則となっています。

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憲法と法律では何が違うのか?→憲法は法律より上位にくるもの

上記で述べた通り、「憲法」は「法律」の基礎となる規範です。

憲法と法律の違いを一言で言えば、憲法は法律より上位にくるものです。

憲法は国の基本中の基本の原則であり、国民が主体でつくるものです。そして、国民主体でつくられた憲法に基づいて、国(日本国憲法下では、国会が唯一の立法機関)が法律をつくります。

あくまでも憲法に基づいて、国が法律をつくるのです。

そして、法律は国民に対して権利や自由を制限する面がありますが、これを破れば国民は罰を受けます。

例えば殺人を犯せば刑法が規定する殺人罪に問われます。そして究極的には死刑という罰を受けるのですが、これも殺人という人権侵害に対するものを、憲法が認めているためであるのです。

あくまでも憲法が法律より上位にあるため憲法の枠内での制限となっているのです。

そのため法律の改正と、憲法の改正ではハードルの高さが違います。

当然、憲法の改正のほうが高いハードルとなっており、法律は衆議院と参議院のそれぞれの議員の過半数の賛成があれば成立するものの、憲法の改正には、衆議院と参議院のそれぞれで3分の2の賛成による発議があり、さらにそれを受けた国民投票で過半数の賛成が必要となっているのです。

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立憲主義とは何か?→フランス革命などから生まれた近代憲法の考え方

憲法とは国家権力を制限して、国民の権利・自由を守るための法規範。

この憲法の考え方はどこから出てきたのでしょうか?

こういった考え方は、イギリスやアメリカなど欧米での革命や戦争の歴史からうまれてきたものではあるのですが、ここではフランス革命がわかりやすのでご紹介したいと思います。

遡ること1789年、フランス革命。ご存知の通り、有名なフランス国民による市民革命です。

革命前のフランスは国王が権力をほしいままにする絶対君主制の国。国王をトップに、国民は三つの身分に分けられていました。

・第一身分である聖職者は14万人
・第二身分である貴族は40万人
・第三身分である平民が2600万人

このうち第一身分と第二身分には年金支給と免税特権が認められていました。これが良く言われる「特権階級」という存在です。

一方、第三身分には、非情なほどの重税が課せられていました。

こうした税の不平等への鬱積(うっせき)、市民の権利などへの抑圧が原動力となり、フランス革命は起きました。

国王ルイ16世と王妃マリー・アントワネットが、市民が見守る中、ギロチンにより処刑され、革命の主体となった市民によりフランス人権宣言が宣せられます。

フランス人権宣言は、

「人間の自由と平等、人民主権、言論の自由など17条からなるフランス革命の基本原則を記したもの」

でした。

この人権宣言の16条に「権利の保障が確保されず、権力の分立が定められていないすべての社会は、憲法をもたない」という文言が示されています。

つまり『憲法とは、個人の人権の保障と権力の分立を定めたものである』というものです。

このフランス人権宣言が、権力者が権力を乱用しないように国民が枠をはめるものとしての憲法を誕生させた、といわれています。

ここに書かれた「個人の人権の保障」は、その意味の通りですが、「権力の分立」とはなんでしょうか?

それは、今でいうところの司法・行政・立法の三権分立を指したもの。

権力をひとつの機関に集中させると、権利が乱用される。それを防ぐため権力を分離し、各権力間の抑制を図り、国民の権利と自由を保障しようという考え方です。

このように、フランス人権宣言を受け、フランスでは1791年、国民が、権力者が権力を乱用しないよう枠をはめた憲法が初めて誕生しました。

『国民が主権者で、国王が国の第一番の公務員である』

と定めたものでした。

このフランス革命やその前後の欧米の歴史を経て、憲法で権力者に枠をはめる考え方が確立、この考え方を立憲主義といいます。

立憲主義とは、カンタンに言えば、政府の統治を憲法に基づき行うことで、政府の権威や合理性が憲法の制限下に置かれているとする考え方なのです。

 

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まとめ

以上、今回は「憲法改正」に必要な基礎知識として

・そもそも憲法とは一体何なのか?

・憲法と法律では何が違うのか?

・立憲主義とは何か?

3つのポイントについて学びました。

・憲法は「国のかたち」を規定したものであり、国民の権利・自由を守るための法規範であること。

・憲法は法律より上位にあり、憲法に基づき法律がつくられているということ。そのため改正には法律より高いハードルがあるということ。

・立憲主義とは、政府の統治を憲法に基づき行うことで、政府の権威や合理性が憲法の制限下に置かれているとする、フランス人権宣言などからうまれた近代憲法の考え方ということ。

でした。

次回は『憲法守って国滅ぶ』と、ならないために憲法改正の具体的内容について解説して参ります。

ご期待ください。

 

(希望日本研究所 第6研究室)

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