2016.01.12 wifi

訪日外国人が不満勃発!?先進国としてあるまじき日本のWi-Fi環境

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年間1,800万人もの外国人が訪れる観光大国日本!旅行者が「不満に感じること」とは?

2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて、日本政府は訪日外国人の旅行者数を2,000万人にすることを目標に掲げていました。

ところが、2014年の年間1,300万人に対し、2015年では11月の時点ですでに1,796万人と、目標の2,000万人にタッチする勢いで伸びています。

 

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<出典> 日本政府観光局(JNTO)

 

何度も耳にし、流行語大賞の年間対象にも選ばれた『爆買い』に象徴される中国人観光客をはじめ、近隣のアジア諸国からの旅行者が約8割と大多数を占めています。

その理由は様々ですが、円安やビザ緩和をはじめ、最近ではヨーロッパがテロなどで危険視されていることもあり、近場で買い物も楽しめる安心安全な日本が選ばれていることでしょう。

また、28年度の税制改正大綱によると、『地方を訪れる外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充』という項目も地方創生の枠組みの中で設定されており、今後さらに外国人旅行者は増えそうです。

 

しかし、ここで胡坐をかいてはいけません!

もちろん日本滞在を楽しんでくれているでしょうけど、おもてなし国家である日本の全てに満足しているわけではなく、対して不満点も多くあるそうです。

では、彼ら外国人が日本に来た際に、最も困ったこと/不満に感じたことは何でしょうか?

 

訪日外国人の多くが日本で不満に感じたのは「言葉の壁」ではなく「Wi-Fi環境が整備されていないこと」だった!

外国語が苦手な日本人にとって、やはり言葉の壁はネックです。

もちろん言語コミュニケーションが思い通りにいかないストレスは計り知れませんが、実は訪日外国人が日本滞在中に感じる最大の不満は、なんと「Wi-Fi環境が整っていないこと」でした。

観光庁が集計したデータを見ても、半ば圧倒的な結果となっています。

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<出典> 観光庁

 

この時代、インターネットに接続できないと、メールができなかったりSNSにアクセスできなかったり、もはや日常生活に支障をきたすとまで言っても過言ではありません。

その中でも旅行者として切実なのが、せっかく日本のことを事前にインターネットで下調べしても、旅先でブックマークしたページが見れないということだそうです。

街中で公衆無線LANが使えないことは、およそ諸外国では有り得ないことで、この点に関しては日本は非常に遅れをとっています。

東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年というのは目標に設定しやすいですが、公衆無線LANを拡充してWi-Fi環境を整えることは、2,000万人もの外国人旅行者を迎え入れる観光立国として早急に取り組むべき課題ではないでしょうか。

もちろん日本とて全く整備されていないわけではありません。

空港や駅や各店舗などスポットごとに公衆無線LANのサービスがあったり、はたまたアプリのサービスがあったりと、場所や使い方次第では役に立つこともありそうです。

 

 

訪日外国人の不満を無くせ!日本が早急に対応すべきWi-Fi環境の整備

残念ながら、諸外国のWi-Fi環境と比較してしまうと、日本が遅れを取っていることは明白です。

もちろん外国でも完璧に整備されているわけでもなければ、日本でも全く整備されていないわけではありません。

しかし、利便性を知っている外国人からしてみたら日本のWi-Fi環境はまだまだ不便で、しかもそれが決して少数意見ではないということは、しっかりと認識する必要があります。

では実際、彼ら外国人が日本に来たときに使えるサービスを見てみましょう。

 

訪日外国人が使える無料Wi-Fiアプリ① 『Japan Connected-free Wi-Fi』

NTTが提供しているアプリ『Japan Connected-free Wi-Fi』は、私たち日本人でも普通に使うことはできます。

とはいえ、概要にはしっかりと「訪日旅行客のための」と記載されており、あくまで建前としては日本に観光に来る外国人に向けたサービスとなっています。

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対応エリアが限られているところが、外国人にとっては不便・不満なのでしょう。

確かに旅行者にとっては、名勝地など観光地でネットにつながらないと意味がありません。
しかし、街中であれば、例えばセブンイレブンなどはどこにでもあると言っても過言ではないので、意外に使えそうです。

実際にセブンイレブンに行ってみると、入口の脇にステッカーが貼ってあり、『7SPOT』というSSIDでインターネットに接続することができます。

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また、このアプリには『オフラインマップ』という、いかにも旅行者向けのサービスが付いています。

東京駅や新宿や秋葉原など、あらかじめ主要な観光地のデータが内蔵されているのです。

そのため、ネットが繋がらない場所でも、次の目的地の無料Wi-Fiスポットをチェックすることができます。

その他の浅草や渋谷などのエリアでも、ネットに接続できたタイミングでデータをダウンロードしておけば、いつでもその街の無料Wi-Fiスポットを確認することができ、市街地の観光には不便なく使えそうです。

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訪日外国人が使える無料Wi-Fiアプリ② 『TRAVEL JAPAN Wi-Fi』

名前からして、いかにも日本を観光する外国人に向けた『TRAVEL JAPAN Wi-Fi』というアプリもあります。

これも建前として外国人向けサービスかと思いきや、驚くことに、日本人はアプリをダウンロードすることすら許されていないのです。

もう少し細かく説明しますと、iTunesのApp Storeで国の設定が『日本』だと検索にすら引っ掛からず、試しに『アメリカ』に変更したらアプリが見つかったものの、いざダウンロードをしようとすると、ストアの国籍ではなくアカウントの国籍そのものを変えないと使えないようでした。

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あくまで訪日外国人のために用意しているサービスなわけで、その分の容量を日常的に日本人に解放したら簡単に容量不足になることは想像できます。

とは言え、本当に日本人が使えない仕様とは、凄い徹底ぶりです。

 

無料Wi-Fiを提供するカフェなどでは訪日外国人も不満も解消!?

最近では、空港や駅に加え、街中の飲食店でも無料Wi-Fiをサービスの一環として提供している店舗が増えてきています。

外国人旅行者としては、同じような形態の店が目の前に複数あれば、Wi-Fiが使える方を選ぶでしょう。

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ただし、中には事前登録が必要な有料サービスもあるので要注意です。

それこそ、私たち日本人にとっては月額数百円で多くの場所のWi-Fiスポットを遣えるのは良いかもしれませんが、一時的に観光しにくる訪日外国人にとっては、その利用料というより事前登録という手間の方がナンセンスかもしれません。

ただ無料というわけではなく、料金も手間も掛からない本当の意味での『Free Wi-Fi』の大々的普及は、まだまだ先が長そうです。

 

 

外国のWi-Fi環境に観光客は不満を感じない?日本とは違う公衆無線LANの整備状況

観光庁による外国人の困りごと第1位が『無料公衆無線LAN環境』ということですが、日本のWi-Fi事情が満足いかないレベルなのは日本人としても分かります。

では逆に、諸外国ではそんなに町中にWi-Fiが飛んでいるものなのでしょうか?

ヨーロッパの主要都市の中でも技術的に進んでいるバルセロナとロンドンを例に、その取り組みを見てましょう。

 

バルセロナのWi-Fiサービスが凄い!日本に不満を感じる外国人観光客の気持ちが分かった

スペインのバルセロナと言えば、ガウディ建築に美術館にバレンシア料理など、いつだって人気観光地として多くの旅行者で賑わいを見せています。

そんな『ザ・観光地』としてのイメージが強いバルセロナですが、上で示したデータにもある通り、イノベーションの分野においてもヨーロッパの主要都市でトップに君臨するほどです。

街中にWi-Fiが飛び交っているのは当然で、2015年3月の時点では市内に664ヶ所の無料Wi-Fiスポットが用意されています。

 

世界中から外国人旅行者が集まる主要観光都市として、このくらいのWi-Fi整備はむしろ当然かもしれません。

しかし、ここバルセロナでは特筆すべきは、外国人向けのサービスというより市民向けのサービスということです。

15年ほど前の2000年あたりから『スマートシティプロジェクト』を掲げ、ただ無線LANを飛ばすようなものではなく、Wi-Fiを活用した革新的な取り組みが行われています。

バス停 Wi-Fiスポットの提供/Wi-Fiによるバスの運行情報の配信
駐車場 駐車場の空き状況をセンサーで確認およびWi-Fiで配信
街灯 交通量をセンサーで確認およびWi-Fiで明かりを調整
ゴミ収集管理 ゴミ箱の満杯状況をセンサーで確認およびWi-Fiで配信

 

どうでしょう、この未来的ともいえる取り組み。

日本も技術的にはできそうですが、公衆無線LANの整備すらままならない現状では、バルセロナのようになるには先が長そうです。

こういう先例があると、もはや「2020年までのオリンピックまでにWi-Fiスポットを全国的に3万ヶ所ほど増設」程度の目標では、その時期も内容も魅力的とは思えないのが残念です。

しかし、逆にこのような先例があるからこそ、日本政府もバルセロナを目標に取り組んでくれることを期待しましょう。

もちろん、まずは無料Wi-Fiスポットの増設を!

 

オリンピック開催を機に無料Wi-Fiスポットを激増させたロンドン

2012 年に開催されたロンドンオリンピックでは、外国からやって来る多くの観光客のために、大々的な公衆無線LANの整備が行われました。

さらに4年前の2008 年に開催された北京オリンピックでも一部のエリアで無線LAN が導入されましたが、ここまで広く公衆無線LANが敷設されたのは、前回のロンドンオリンピックが初めてです。

 

注目すべきは敷設されたエリアで、イベント会場やその周辺だけに限定したわけではなく、ロンドン市内を広くカバーしたのです。

その結果として、外国から訪れてくる人々にとっても地元のロンドンっ子にとっても、有り難いインフラとなりました。

 

東京はアカン!訪日外国人の不満を解消する大阪の無料公衆無線LANサービス

一方、日本でも取り組んでいる自治体はあります。

例えば大阪府は、通信事業者や鉄道会社などの企業と一緒に、観光誘致の一環として無料公衆無線LANサービス『Osaka Free Wi-Fi』『Osaka Free Wi-Fi Lite』を2014年の秋頃から提供し始めました。

プログラムは2つあり、接続時間や利用制限などの差があります。

SSID 接続時間 利用制限 アクセスポイント数(’15年3月)
Osaka Free Wi-Fi 60分 無制限 631(駅や施設など)
Osaka Free Wi-Fi Lite 30分 1日8回(計4時間) 2144(個店など)

 

ちょっとネックなのが、どちらのプランも60分に1度30分に1度)はメールアドレスの入力を求められることです。

せめて入力は最初だけにして、その後はログイン履歴を遡って自動接続できるようにするなど、改善の余地は残されています。

とは言え、わざわざ専用のアプリをダウンロードする必要もなくメールアドレスの入力だけで済む手間は、セキュリティの面から言っても許容範囲でしょう。

この効果もあってか、大阪の年間観光客数は最近では300万人を突破しています!

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様々な要因がある中で、この無料Wi-Fiスポットの増設も一役買っていると思いたいところですが、仮に因果関係なかったとしても、訪日外国人が自由にネットに接続できることは、観光地として大きなメリットがあります。

SNSが普及している今の時代、観光客が良いと思った経験や感動は、瞬時に世界に向けて発信され、言うなれば勝手に宣伝してくれるのです。

旅行者は『客』でありながら『広報』でもある!

ですから、観光地を抱えている自治体は率先して無料公衆無線LANの整備を進めれば、訪日外国人へのWi-Fi提供サービスに加え、自分たちの街のアピールにも繋がります。

そう考えると、公衆無線LANの整備に掛かる先行投資は、格安の広告宣伝費と言えるかもしれません。

 

 

訪日外国人の旅行中の不満を解消するため、日本政府はどう動いている?

公衆無線LANの増設は、総務省としても『外国人旅行者へのサービス』『防災対策』として、重要な整備であることは認識しています。

外国人からしたら「何を今さら?」とクールに一蹴されるようなことかもしれませんが、それだけ日本は遅れているのです!

とある国会議員から直接聞いた話によると、国会の回線がデジタルから光になったのが最近ということで、ICT(情報通信技術)政策に力を入れている日本としては早急に諸外国に肩を並べる必要があるでしょう。

セキュリティの問題もありますが、なるべくだったら、パスワードの入力や設定の煩わしさなど一切の手間を省いた『完全フリーWi-Fi』の整備が望ましいでしょう。

特に外国人観光客は、半ばストレスフリーなWi-Fi環境を色々な国で経験していることもあり、ただ環境を整備するだけでは、訪日外国人の不満は取り除けないかもしれません。

 

政府としても、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年を目標に、「全国の観光地など約3万カ所に無料Wi-Fiスポットを設置する」方針を決めています。

しかし、外国からの旅行者が年間2,000万人に届きそうな今、そんな呑気な目標設定は言ってられません。

総務省の報告書によれば、「今回のWi-Fi整備に掛かる費用の約311億円を上回る経済効果が見込める」らしいので、早急に取り掛かっていただき、日本を旅行する外国人の不満が少しでも解消されることを期待しましょう。

 

 

希望日本研究所 第5研究室

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