2016.01.12 領土問題

中国の暴挙!日中合意を無視!東シナ海・日中中間線での強引な中国のガス田開発

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東シナ海における中国の一方的なガス田開発の証拠写真を公表

政府は2015年7月22日、中国がガス田開発に使う海洋プラットフォームを東シナ海に新設しているとして、証拠の航空写真を外務省のホームページで公表しました。

これまでに確認していた4基に加えて、2013年6月以降に新たに12基の構造物を建設していることを確認されたそうです。

今回の公開資料には、中国側のプラットホーム建設中の様子も写っており、全体として合計で16基が存在することになりました。

問題となっている海域は日中中間線から約20キロメートルほどで、地下ではガスの埋蔵地域が日中中間線の日本側海域に広がっている可能性もあります。

したがって、日中中間線の西側・中国側で新たなプラットフォームを建設する動きが進められているとはいえ、そうした開発によって、日本側にある地下資源も中国に吸い上げられてしまう可能性が懸念されています。

政府は中国にそういった懸念を伝えていますが、中国側は開発を中止させようとはしません。

東シナ海でのガス田開発をめぐっては、2008年に日中両政府が共同開発することで合意し、条約の締結交渉も行われましたが、2010年に起きた尖閣諸島での中国漁船による衝突事件をきっかけに中断したままとなっています。

その合意を中国が無視して一方的に資源開発を進めたこと、さらには、海洋プラットフォームが軍事拠点として利用される恐れもあることから、今回政府が情報の公開に踏み切ったのです。

 

東シナ海でのしたたかな中国の戦略

中国側の開発があまりにも急ピッチで進められていることや、いろいろな地域で中国による一方的で強引な現状変更が行われていることに対して、国内外の関心は高まっています。

当然、東シナ海のガス田開発をめぐっても、中国側の一方的なプラットフォーム建設に対して、今までも日本政府は繰り返し抗議をすると同時に、建設作業の中止などを求めてきました。

もともと政府としては、東シナ海における日中間の排他的経済水域(EEZ)や大陸棚の境界は未画定であり、日中中間線をもとに境界を画定すべきであると主張しています。

しかし、中国側は日本の抗議に対して、領有権争いのない海域で中国の権限のもとで行っているガス田の開発は正当な行為で、妥当なものだとしています。

頑なに開発をやめようとしない中国の狙いとは一体なんでしょう。

そこには、単にエネルギー資源の獲得だけではなく、したたかな中国の拡大戦略が垣間見えるように思われます。

 

「日中中間線」とは

はじめに、「日中中間線」とは一体どういうものなのか、確認しておきたいと思います。

東シナ海において、日中間で「排他的経済水域」を設定する際の基準となる線が日中中間線です。

排他的経済水域というのは、天然資源・自然エネルギーに関する排他的な権利や、海域における管轄権がおよぶ水域のことで、国連海洋法条約では自国から200海里(370.4km)の範囲内をその水域として設定することができるとしています。

東シナ海では、この排他的経済水域を設定する際の基準である、沿岸から200海里までのエリアが日本と中国では重なり合っており、その境界線がいまも画定していません。

そうした状況の中で、「地理的にちょうど中間にある線を、日中間の境界線にすべき」という日本側の提案した境界線が日中中間線なのです。

ただ、中国側はこの提案を受け入れず、沿岸200海里よりもさらに深く日本側に入り込んだ「沖縄トラフ」が境界線だと主張しています。

そして、日中中間線のギリギリの位置に、ガス田開発のためのプラットフォーム群を建設しいくことになります。

 

東シナ海におけるガス田問題の経緯

日中両国には、東シナ海のガス田開発をめぐって長年争ってきた経緯があります。

ただ、上で述べたように、かつて中間線付近でのガス田を共同開発することで合意したことがあります。

そもそも、この問題は中国が2004年、中間線のすぐそばで「白樺」と呼ばれる施設を建設したことがきっかけで、問題が表面化しました。

その後、両国間での協議の結果、2008年6月にガス田を共同開発することなどで合意しました。

この合意は、境界線が確定するまでは、ガス田の開発を互いに協力するとしたもので、日本が提案していた日中中間線の考え方を中国側も尊重したものだと受け止められていました。

しかしながら、2010年に尖閣諸島の周辺海域で、中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突する事件が起きて以来、両国間の関係に摩擦が生じ、境界線をめぐる交渉は中断したままになっています。

中国は中間線に非常に近い場所で、白樺、樫、平湖、八角亭と呼ばれる4か所のガス田を開発、プラットフォームの建設を進めてきました。

近年、中国はその建設速度を速め、2014年6月には6か所に増加、さらに1年間で12か所に急増、建設途中のプラットフォームもあと4か所あるという状況です

中国側のプラットフォームは、たしかに日中中間線からはみ出してはいません。

ただ、重要なのは、日本は「中間線」を提案してはいるものの、境界が画定されていない以上、200海里までの海域の権益を放棄したわけではないという点です。

中国側のプラットフォームのほとんどが、境界近辺の海域に建設されており、そうした一方的なガス田の採掘によって、日本側の権利は損なわれている状態です。

さらに、中国側は今後もガス田開発をさらに拡大させていく姿勢をうかがわせています。

 

資源の確保だけではない?!中国のガス田開発の真の狙いとは

では、中国が日中中間線付近でガス田の開発を急ピッチで行っている、その狙いはどこにあるのでしょうか。

想定されるものとして、指摘されているのは、次の3つです。

  1. エネルギー資源の確保
  2. 軍事目的の利用
  3. 海洋支配域の拡大

 

①エネルギー資源の確保

急激な経済発展を遂げている中国にとって、エネルギー資源の確保は緊急の課題です。

実際、すでに中間線付近のガス田の一部から採掘された天然ガスが、中国本土に送られ消費されているともいわれています。

現在、中国ではエネルギーのおよそ60%余りを石炭に依存しており、石炭による深刻な大気汚染に悩まされています。

そのため、中国は今後、石炭の比率を減らし、天然ガスや石油を増やしていこうとしているのです。

しかし、石油や天然ガスはその多くを輸入に頼っています。

特に、中東から石油を運ぶ海上輸送ルート(シーレーン)はアメリカ軍の影響力が大きいため、自国近海域でのエネルギー資源の獲得を目指しています。

中国が、東シナ海や南シナ海の海底資源に強い関心を持つのには、こういった背景があるのです。

 

②軍事目的での利用

一方、東シナ海でのガス田プラットホームが軍事目的に使われる可能性も指摘されています。

というのも、実際は東シナ海に眠る、地下の天然ガスの埋蔵量は大した量ではないことがわかっているそうです。

採掘・輸送にかかるコストを考えた場合、そもそも採算が合わないのではないかといわれているのです。

採算が合わないのに、物凄い勢いでこの海域にプラットホームの建設を急ぐのは、南シナ海の人工島同様にその軍事的価値にあると容易に予想できます。

現在、東シナ海に中国空軍の飛行を支援するレーダー施設がなく、現在、中国沿岸部に設置されているレーダーでは、東シナ海全域を監視したり情報収集するためには十分なものではありません。

そこで日中中間線上の一群のプラットフォームを考えてみると、それらは東シナ海での前線基地としては理想的な位置にあることがわかります。

これらにレーダー設備を設置すれば、沖縄、南西諸島全域の自衛隊と米軍の動きを把握することができ、中国空軍の行動範囲が大きく広がることになるでしょう。

中国軍の情報収集能力は格段に高まると考えられます。

また、それらのプラットフォームはヘリコプターや無人機の洋上の基地として転用することも可能で、実際ヘリポートが存在することが公表された写真からわかります。

 

③海洋支配域の拡大

日本が提案した「日中中間線」を中国は拒否していますが、この一方で、日本の言い分を逆手に取るように、中間線ギリギリまで自国の勢力を前進させています。

そして、近年の急ピッチでの建設は、その勢力をさらに前進する機会をうかがっているようにも思われます。

海上に構造物を築いて支配域を拡大しようとするやり方は、南シナ海の岩礁を埋め立てて人工島をつくり、その海域が自国の海だと主張しているのとまったく同じです。

当然、人工の島や構造物は国際法上、自らの領海を主張する際になんの根拠にもなりません。

しかし、南シナ海において、中国は洋上の構造物を領土と位置付け、周辺海域を実効支配しているかのような振る舞いをしています。

それが、東シナ海でもほぼ同様の行為が進行しているのです。

この海域に基地としての海上施設を充実させることは、中国の海上戦力展開の目標ラインであり防衛線でもある[、いわゆる「第一列島線」の確保に直結しているのです。

 

中国の拡張主義・覇権主義に対応するために

中国の拡張主義は、海洋地域だけでなく周辺各国の間で摩擦と緊張を高めています。

ところが、政府は東シナ海において、中国によるプラットフォーム建設の状況を、上空からの監視する一方でその詳細を公表してきませんでした。

中国と交渉を進める上で外交的な配慮が必要だったにせよ、国民のほとんど知らない間に、そういった一群の施設が中間線のごく近くに建てられてしまったという状況です。

大国としての自信をつけた中国はここ数年、その野望をあらわにし、野望の実現のため、周辺地域・海域へのさらなる拡大政策を推し進めています。

その野望とは、国力を強めてアメリカの覇権を奪い、中国主導の国際秩序を築くことです。

中国は、南シナ海において埋め立てた人工島をもとに領海・主権を主張しています。

さらに、東シナ海では尖閣諸島をも含め、中国はそのほぼ全域を自国の主権のもとにあると主張しているのです。

これは、日本にとって深刻な問題だといえます。

中国による既成事実化や現状変更の試みに対して、今後、日本として効果的な対応策を繰り出していけるのか、国民全員が問題意識を共有し、領土主権や国防の論議を進めていくことが必要なのです。

 

※ 希望日本研究所 第8研究室

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