2015.12.26 領土問題

南西諸島防衛に自衛隊配備へ! 中国が狙う尖閣諸島をどう守るのか

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南西諸島「防衛力強化」の大きな枠組みが確定

近年、東シナ海では、中国公船が尖閣諸島の周辺海域内に領海侵入を繰り返すなど、中国の海洋活動が活発化しています。

西太平洋に進もうとする中国と、これを牽制しようとする日米同盟間での駆け引きが激化しているのです。

そうした中国の海洋進出に備えるため、日本政府は「沿岸監視部隊や警備部隊を新たに編成し、南西諸島の戦力を強化する」という方針のもと、中期防衛力整備計画に基づき南西諸島の防衛力強化を推進していくようです。

南西諸島は、鹿児島から台湾を結ぶ海域に一列に並ぶ、長さ1200キロメートルにも及ぶ島嶼群で成り立っています。

そして、アジア太平洋におけるアメリカの軍事的関与を排除しようという中国の軍事的戦略「第一列島線」に重なっています。

本来、国防・安全保障の態勢に空白があってはならないのですが、南西諸島においては防衛力の空白地域が多く、その是正が課題となっていました。

部隊配備計画は、もちろん、そうした活発化する中国の動きへの抑止力を高めるのが狙いです。

現在、計画は着々と整備されつつあり、南西諸島における防衛上の空白が少しずつ埋まろうとしています。

その状況を見てみましょう。

 

日本の南西諸島における自衛隊配備計画

まず、与那国島に陸上自衛隊の沿岸監視部隊を配備し、平素から監視に必要な態勢を整備します。

そして、自衛隊配備の空白地域となっている奄美諸島・先島諸島に「警備部隊」などを新たに配備することにより、南西地域の離島の防衛体制を強化し、災害対応を含む各種事態発生時の迅速な対処を可能とします。

 

日本の最西端、有事の際には最も危険にさらされる「与那国島」への自衛隊配備計画

与那国島は、日本の最西端の島であり、南西諸島八重山列島の西端、日本最西端の地を擁した国境の島です。

尖閣諸島の魚釣島からの距離150kmほどの距離に位置しており、台湾や尖閣諸島での有事の際にはまず最初に巻き込まれる恐れがあります。

与那国島周辺では1990年代より、中国籍と思われる船舶の活動が確認されていました。

1996年、中国が台湾の総統選挙に圧力をかけたことから、台湾海峡においてミサイル危機が発生し、台湾に面した与那国島の沖合に、中国軍が威嚇目的で放った弾道ミサイルが弾着するという事件が起きました。

その後も、中国籍とされる軍艦や船舶よる沖縄近海への接近および通過が頻繁に起こっています。

与那国島には沖縄県警の警察官2人が駐在してますが、以前から、住民は「拳銃2丁で国境の島が守れるのか」との不安の声を上げていました。

そこで、2010年に採決された防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画 (2011)において200人規模の沿岸監視隊配備が計画されました。

これは、中国の軍事的な脅威に対して南西諸島の警戒・監視網の死角を埋める意味があり、それと同時に与那国島への奇襲・占領を抑止するためのものです。

宮監視レーダー施設などの完成は2015年度末を予定しており、沿岸監視部隊と後方支援部隊を併せ150名程度が配備される予定です。

配属される部隊の任務は、付近を通る艦船や航空機の監視が主なものとなっています。

中国への抑止力として、監視能力を高めることは緊急の課題であり、今回、実行に移されたのが与那国への自衛隊の監視部隊配備なのです。

 

東シナ海と太平洋を隔てる要衝、「宮古島」への自衛隊配備計画

宮古島は、沖縄本島から南西に約290kmに位置し、南西諸島西部の宮古列島に属し、先島諸島の一部を成しています。

その宮古島と沖縄本島との間にある宮古海峡は、東シナ海と太平洋を隔てる要衝です。

宮古島には現在、中国軍の動向を知る上で不可欠な航空自衛隊のレーダー基地である宮古島分屯基地が置かれ、南西諸島に接近する航空機を監視しています。

また、下地島には3千メートル級の滑走路をもつ下地島空港があり、戦闘機の運用も可能です。

太平洋への進出を目指す中国軍にとって、宮古島を含む境界線上の島々は第一列島線と表現され戦略上重要視されています。

特に、宮古海峡は最短で太平洋に進出できる出口として、重要視されているのです。

今回の計画では、宮古島に700~800人規模の陸上自衛隊ミサイル部隊などを配備する方針です。

配備予定の部隊は、警備部隊に加え、航空機を撃墜する地対空ミサイル部隊、軍艦など大型船を迎撃する地対艦ミサイル部隊などで構成された本格的な戦闘部隊となるようです。

中国軍は近年、宮古島周辺の海空域を太平洋への出入り口として、航空監視などの動きを活発化させています。

計画通り部隊を配置すれば、高い抑止効果が期待できます。

部隊配備の狙いは中国の海洋進出に対応するだけでなく、尖閣諸島などの離島防衛を強化するためのものです。

順当にいけば、2018年度末までに7〜800人規模の部隊が宮古島に発足することになります。

 

八重山諸島の政治・経済などの中心、「石垣島」への自衛隊配備計画

石垣島は、沖縄県石垣市に属する島で、沖縄県内では沖縄本島、西表島に次いで3番目に広い島です。

石垣島は八重山諸島の政治・経済などの中心地であり、那覇市との距離は南西に410km以上離れていますが、逆に台湾とは270kmしか離れておらず、地理的には日本のほとんどの地域よりも台湾に近い場所に位置していることになります。

その石垣島には、南西諸島の防衛強化のため、500~600人規模の陸上自衛隊の部隊を配備する方針です。

配備される部隊は、離島が侵攻を受けた際に初動対応に当たる警備部隊や、地対空、地対艦ミサイルを担当する部隊となります。

2019年度からの配備を予定しており、先島諸島の中では最後の配備となります。

与那国島、宮古島に続き、石垣島に自衛隊が配備されることが決まったたことで、これまで進めてきた南西諸島の防衛力強化計画の全体的な枠組みが確定することになりました。

これまで、南西諸島に自衛隊が駐留していたのは、中心部である沖縄本島にのみでしたが、国境の島々に警備部隊や射程距離が長い地対空、地対艦ミサイル部隊を配置することによって、接近してくる中国軍の航空機や艦船に対する抑止力を高めることができるでしょう

 

九州南方に位置する大きな島、「奄美大島」への自衛隊配備計画

鹿児島県に属する奄美大島は、九州南方の海上にある大きな島です。

現在、奄美大島には航空自衛隊と海上自衛隊の分遣隊が駐屯していますが、主に通信や補給のための基地であり、本格的な離島防衛としての能力は有していません。

そのため、近年南西諸島を頻繁に通過する中国海軍を念頭とした対象に対する抑止力として、奄美大島にも、陸上自衛隊の「警備部隊」を新たに配備することを決定しました。

警備部隊とは離島防衛や沿岸監視のための小規模な警戒部隊のことです。

そのため、平時は沿岸域の監視などの任務を担いますが、もし、敵の侵攻があった場合は防衛部隊として離島の防衛作戦を実行します。

奄美の警備部隊は550人規模の部隊となる予定で、中距離地対空ミサイルや最新鋭の地対艦ミサイルも配備します。

そのため、有事の際は敵の艦艇や航空機に打撃を与える能力を有します。

2018年度までの配備を目指して、2015年度から駐屯地の整備に着手し、ミサイルもそれぞれ配備が始められるようです。

部隊は他国に侵攻される事態が起きた場合、初動を担うだけでなく、台風などの大規模災害の際に迅速に復旧活動に当たることも期待されています。

この奄美大島への警備部隊の配備は、中期防衛力整備計画で計画された南西諸島への部隊配備の一環です。

 

中国の真の狙いは沖縄?!

中国政府が主張する歴史的領土には、沖縄も含まれていると言われます。

それを裏付けるかのように、中国は近年、西太平洋での活動を活発化しており、東シナ海と太平洋を頻繁に出入りしているのです。

中国が太平洋に出るルートの一つが尖閣諸島の存在する海域で、中国の艦船や航空機の通過が頻繁に確認されています。

さらに、尖閣諸島だけでなく、中国軍艦は宮古島や石垣島周辺の海域を通過している事が確認されています。

したがって、今回の長射程のミサイル部隊の配備は、尖閣や宮古島の周辺を行き来する中国海軍にとって脅威となることは間違いなく、抑止力として十分な効果があるでしょう。

自衛隊の配備に対して、「部隊が配備されれば攻撃対象にされる」という反対論もありますが、国境の離島は戦略的に重要なものであり、自衛隊の存在の有無にかかわらず、攻撃の危険にさらされているのです。

現実に、中国は南シナ海において、軍事力を背景に岩礁の埋め立てなどを行っています。

宮古島や石垣島などは、中国が狙っている尖閣諸島に最も近く、多くの国民が暮らしています。

そこに住む人々の安全を守るためにも、欠かせない配備なのです。

 

※ 希望日本研究所 第8研究室

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